全方位幸せの構造。ハッピートライアングル
食べたいから、誕生日だからケーキを買う。この当たり前の行動に、関係するすべての人の熱い思いが宿ると高橋は言う。
「ケーキを買う時、渡す側ももらう側も幸福感がとても高いですよね。特に、渡す・買う時というのは、相手のことはもちろん、ケーキの仕様をあれこれ思い浮かべます。この幸福感を全国に広げたいと思っています」
幸福感を演出する側のケーキ・洋菓子店も、経営の不安を感じていては職人の本領を発揮しにくい。
「ケーキにまつわるすべての人が、幸福であることを目指しているのです。私たちもビジネスが軌道に乗ることでハッピーになり、消費者、作り手、そして私たちの3者が幸せであることが大事です」
冒頭に高橋の言葉として紹介した「ケーキと消費者のマッチングサービス」は、ECの領域を超えた満足度の高い仕組みという意味になる。両者の課題の多くは解決され、さらにサービスを高めるつもりだと高橋は言う。そして次のステージを目指している。
「ギフトの会社を起こし、ケーキに特化。2017年にCake.jpとしてスタートし、仕組みを作り上げました。当然、IPOを目指しています。そのためにはまだまだやることがあると考えています」
現在、参加店舗で対応しきれない注文、またD2Cカテゴリー(パティシエとのコラボレーション)ではレシピを共有して量産するため、現在自社工場を増設している。加えて、アニメなどのキャラクターなどのケーキを増やすべく、版権元との交渉にも力を入れているという。
Cake.jpは、店との協力、自社工場、配送の提供、コンサルティング、このプラットフォームを軸に、「いわばケーキのSaaSですね」(高橋)を作り上げた。
ひとつのケーキを中心に生まれる幸せの構造が、またひとつ今日の注文を産むだろう。