米国GDP、パンデミック前の水準まで回復するのは2022年以降

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米国はいまだに景気後退の中にあり、経済が新型コロナウイルスのパンデミック以前の水準に戻るまでには数年を要する可能性がある──8月24日に公開された全米企業エコノミスト協会(NABE)の調査報告書で、エコノミストたちはそう警告している。

NABEの2020年8月版経済政策調査報告書では、調査対象者のおよそ半数が、米国の最も一般的な経済指標であるGDPがパンデミック以前の水準まで回復するのは2022年以降になると回答した。

調査対象になったエコノミストの3分の2は、米国経済が依然として、2月に始まった景気後退の只中にあると見ている。景気後退が終わる時期については、回答者の35%が2020年後半、34%が2021年のどこかの時点と予測した。

回答者の80%は、25%以上の確率で、経済が「二番底」入りすると示唆した。つまり、経済が完全に回復する前に、再び悪化する可能性があるということだ。

この調査では、これまでに数兆ドルを投じた米連邦準備制度理事会(FRB)の経済支援策が強く支持されていることも明らかになった。回答者の77%は、積極的な金融政策緩和というFRBの現在のスタンスを「おおむね正しい」と評価した。この支持率は過去13年で最高の数字だ。

FRBの政策を「過剰」と見る回答者は5人に1人。「抑制的すぎる」とした回答者はわずか2%にとどまった。

その一方で、景気後退に対する議会による財政的対応が適切かどうかについては、エコノミストのあいだで意見が割れた。議会の対策について、「不十分」と評価したのは回答者の40%。「適切」は37%、「過剰」は11%だった。

追加の新型コロナウイルス関連刺激策の規模については、1兆ドル以上が適切とした回答者が75%近くに達した一方で、1兆ドル未満の小規模な対策を支持した人は17%だった。

また、経済エキスパートの大多数は、米国の雇用状況は少なくとも2022年まで回復しないと予想している。NABE調査報告書によれば、労働市場が2021年に回復するとした回答者は18%。2022年まで回復しないと予想した人は41%、2023年以降になるとした人は34%だった。

来たる2020年大統領選挙も、米国の経済成長にさらなる影響を及ぼす可能性があると識者は見ている。回答者の過半数は、ジョン・バイデン前副大統領のほうがドナルド・トランプ大統領よりも経済成長をうまく促進できると考えている(バイデン62%に対して、トランプ25%)。

今回の調査の責任者で、オックスフォード・エコノミクス(Oxford Economics)のチーフ・アメリカ・エコノミストでもあるグレゴリー・ダコ(Gregory Daco)は、「調査回答者には、次期政権が任期1年目に取り組むべき政策上の最重要課題を3つ選択してもらった」と述べている。「10余りある選択肢のうち、特に多く挙げられたのは、新型コロナウイルス感染症への対応、経済回復の促進、医療政策だった」

NABEの経済政策調査報告書は、235人のエコノミストの回答をまとめたものだ。今回の調査結果は、全米経済研究所(NBER)が6月に示した見解と合致している。NBERの見解では、新型コロナウイルスのパンデミックによる大規模なビジネス活動の停止とレイオフに伴い、米国経済は2月に景気後退入りしたとされている。

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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