フィッチは、コロナショックが今後長期間にわたって世界経済の足を引っ張るとの見方を示し、その影響は同社の予測対象期間を超えて続くと予測している。
「GEO(世界経済見通し)の対象となる10カ国の経済に関する我々の基本ケース予測によると、2025年時点のGDP(国内総生産)が、危機以前の傾向から予測したレベルを約3~4%下回るとの結果が出ている」とフィッチ・レーティングスは述べた。
フィッチではその根拠について、「コロナショックによって長期的に失業率が高止まりし、投資が弱含みとなることで、サプライサイドにマイナスの影響が生じるという我々の予測を反映したものだ」と記している。
米国および世界の政策立案者は、今回のパンデミックが経済に与える影響が、歴史的な規模とはいえ一時的なものに終わるという考えを捨て、より長期的な景気後退に備え始めている。
こうした見通しをさらに悪化させているのが、各家庭や事業所向けに交付されてきた主要な給付金が、ここにきて次々と打ち切りの時期を迎えていることだ。打ち切られるものの中には、多くの生活者にとって命綱となってきた、失業保健の加算給付も含まれている。
米国では7月末の時点で、食べるものにも困る人々が3000万人に達するとの報道があった。しかも、今後数カ月でこの数はさらに増えると見られている。
「短期的な経済混乱の先まで見ようとする場合、短期的だが大規模な数字の悪化が、経済にいつまでも消えない傷跡を残すことを裏付ける証拠がふんだんに存在する」とフィッチ・レーティングスは述べる。
「景気後退のあとの回復には時間がかかることが多い。一般的に言えば、数字が危機以前のレベルに戻るには数年を要する」