ビジネス

2020.09.07

パワハラや超過労働にも対応 「テレワーク保険」が守ってくれること

Kathrin Ziegler/Getty Images


例えば、「テレワーク保険」と呼ばれるセットプランを見てみると、そうしたサイバー保険の機能に加えて、「労務に関するリスク」や「会社機器の損壊リスク」への備えも用意されている。

「労務に関するリスク」と聞いてもピンと来ないかもしれないが、働き方改革でようやく労働時間の短縮が目に見える形になってきたものの、テレワークや在宅勤務では労務管理は行き届きにくい。オーバーワークが生じやすいため、心身に不調を訴える従業員が増えていることはさまざまな報道でも指摘されている。

また、テレワークだと上司も気が緩み、部下のプライベートに立ち入りがちだ。特に、1対1のWeb会議は周囲の目が行き届かないため、ハラスメントが起きやすい。これまでにはなかったかたちの、事業主の責任が問われるリスクがテレワークには潜んでいることを認識しておきたい。

また、セキュリティ維持を考え、社有端末を従業員のテレワークに使う場合には、「会社機器の損壊リスク」への備えも大切だ。もしも、持ち運び中に盗難されたり、自宅で使用中に破損したりした場合のことも考えておく必要がある、というわけだ。

null
東京海上日動「テレワークに関する補償の「ご案内)」パンフレットをもとに筆者作成

東京海上日動の保険では、これらの補償に加えて無料のサービスもある。たとえば、「Tokio Cyber Port」という同社サイトで、サイバー関連のコラムやニュースを閲覧可能なほか、無料会員登録で、標準型攻撃メール訓練や、サイバーセキュリティ外部診断といったサービスが利用できるため、サイバー事故が実際に発生する前からの備えに役立てられる。

また、同社のサイバーリスク保険への加入者には、「緊急時ホットラインサービス」も利用できる。これは、ウイルス感染やネット接続不具合など日常の事業活動におけるトラブルに対して初期アドバイスのリモートサポートが受けられるサービスだ。不正アクセスや情報漏えい等の高度な専門性を要する重大トラブルに対しても、より専門的な観点でのアドバイスや専門業者への紹介が受けられるため、迅速な初動対応や被害拡大防止など事後の備えにも安心だ。

「労務に関するリスク」についても、Web上での従業員の「ストレスチェックサービス」のほか、従業員のメンタルヘルスなどに関する「メンタルケアホットライン」、病気やケガについての悩みや緊急時の対応を専門スタッフに相談できる「メディカルアシスト」、法律・税務・労務に関するホットラインといった無料サービスが利用できる。

こうした「サイバー保険」や「テレワーク保険」の付帯サービスについてもチェックして、自社にとって費用対効果の高いプランを検討してみる価値はありそうだ。

ちなみに、保険料は年間売上高、業種、セキュリティ状況などによって決まり、保険金額や免責金額を設定することもある。商工会議所などが会員向けに用意した割安なプランもある。

連載:ニュースから見る“保険”の風
過去記事はこちら>>

文・図=竹下さくら

ForbesBrandVoice

人気記事