ビジネス

2020.09.02

生きるのがラクになる。苦手を避けて得意で戦う「コミュ力」不要の仕事術

Hinterhaus Productions /Getty Images


ところが①は、実はコミュ力よりも、「担当者をつかまえられるか」の方が重要です。社会人は、決まった日時に定例会議があるなど、1週間を同じようなスケジュールで動いている人が非常に多い。つまり、月曜の午前中に電話をかけて不在だった人は、ずっとつかまらない可能性が高いということ。だからこそ大切なのが「リスト管理」です。

それに気づいた私は、担当者はいたか、名前は聞けたか、などをすべてエクセルに書き出していきました。そうすると、「この担当者は月曜日の午前中はいないな」という傾向が見えてくるんですね。それが見えてきたら、次は月曜日の午後に電話を掛けてみよう、曜日を変えてみようと対策を立てることができる。

さらに、作成したリストをもとに、月曜日から金曜日の5日間を朝・昼・夕方に振り分けて電話するようにしました。そうすると、10件中5件は電話に出てくれます。同僚たちの3〜5倍は担当者と直接話せているので、結果的に受注数も3倍以上に増やすことができました。

次に②の「話せたら、会って話を聞いてみたいと思うトークができるか」についてですが、これも実は、私が苦手なコミュ力をあまり必要としないやり方でも十分に戦えます。つまり、「担当者が知りたいこと」が話せれば、相手に会ってみようと思ってもらえるということです。

求人広告の営業で担当者が最も知りたいことは「ここで広告を出したら応募が来そうかどうか」でした。そこで私は、当時『タウンワーク』にあった「特集」を使うことにしたんです。

「フード特集」とか、「販売職特集」などの巻頭特集に合った業種のお客様にだけアプローチをし、「多くの方に見られるチャンスなので、もし求人を考えているなら今週がオススメですがどうですか?」というトークだけをひたすら繰り返す。それ以外の業種の人にはその週はアプローチをしない。つまりたった1種類のトークをずっと使い回すだけです。

相手からすると「巻頭特集に載るならいいかも」と思ってもらいやすいですし、実際にトークも1種類なので絶妙なトーク力も必要ありません。そんなやり方を徹底していくだけで、営業成績の目標を達成し続け、全社の中でも常に上位の成績を収められていました。

頭でイメージできないことに対して、人は動くことができない。私は常々そう考えているのですが、やるべき行動や本当に必要なコミュニケーションの中身を因数分解することは、そのイメージ化の第一歩です。
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構成=村上広大

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