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境界線をあいまいにするボーダレス組織論

Hinterhaus Productions /Getty Images

苦手なことは避けて、もしくはうまく誤魔化して、自分が得意なパターンで勝負する──。これは、コミュニケーションが苦手な私が、ずっと意識してきたことです。

言い換えれば、「自分がいちばん価値を発揮できる戦い方で勝負する」ということ。コミュニケーションの場面に限らず、行動原則と言えるかもしれません。

いまある手札でどのようにごまかすか、どうやったらうまく逃げ切れるか。ちょっとネガティブに聞こえるかもしれませんが、思えば、子どもの頃からそんなことばかり考えていました。

小学生の頃に憧れていた野球選手は、松井秀喜選手や高橋由伸選手のようなスターではなく、川相昌弘選手や元木大介選手でした。なぜなら、自分の良さが活かせるところや勝負できるところで存在感を出せる人に憧れていたから。当時入っていた少年野球クラブでも、レギュラーになれるなら、打順は9番目でもよかった。ポジション(役割)があるという事実こそが、自信や安心感につながっていたんです。

高校では陸上競技に熱中していたのですが、身長が低く才能もない自分が勝つために「スタートダッシュが得意」という長所を生かし、「誰よりも50mを速く走ることで周りを力ませて勝つ」方法を編み出しました。

大学受験でも得意な科目だけで勝負できる学科を選んで、受験勉強をはじめてから半年で現役合格を勝ち取っています。

それは社会人になってからも変わりません。転職活動での判断基準は、「その会社に入ったら一番になれるポジションや役割が空いているか」でした。現在取締役を務めているキャスターに入る際も、自分が得意とするポジションがぽっかり空いていると思ったことが決め手になりました。

キャスターは「700名いる会社のメンバーのほぼ全員がリモートワーク」と説明すると、随分と変わった会社だと思われるのですが、バックオフィス業務をオンライン上で請け負うアウトソーシング事業を中心にビジネスを展開しているので、実は「守りやオペレーションに強い」会社です。

一方で、私が得意としていたのは、新規ビジネスの立ち上げや営業チームの組織化など、リソースが何もないところから力技でもなんとかするという「攻めのアプローチ」でした。それができる人間がまだいないこの会社なら、自分がいちばん価値を発揮できる戦い方ができると思ったのです。

長所を理解するための「因数分解」


では、どうすれば自分の長所を理解できるのでしょうか。その鍵となるのが、達成すべき仕事や作業を、要素ごとに「因数分解」してみることです。

私は以前、求人広告の営業をしていたことがあるのですが、営業職はコミュニケーションがうまくないとできない仕事のように思われていますよね。そんな中で、コミュニケーションが苦手な私が、どう戦ってきたかを例に考えてみます。

まず営業がやるべき仕事の内容は、以下の4つにざっくり分解できますね。

●営業リストをつくる
●営業リストにアプローチをしてアポイントをとる(電話、飛び込みなど)
●商談をする
●商談をまとめ上げ、仕事を獲得する

ここでは、最初の関門となりそうな「営業リストにアプローチをしてアポイントをとる」に絞ってみていきます。これをさらに分解すると、

①電話をして担当者と話せるか
②話せたら、会って話を聞いてみたいと思うトークができるか

という2つのコミュニケーションが必要になることがわかります。

構成=村上広大

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