本社のロビーには、そのデザイン賞受賞と100周年をダブルで祝うため、受賞車のマツダ3や、デザイン賞のトップ3にランクインされたCX-30、さらに世界一のオープンカーとしてギネスブックに載っているロードスターと、1969年式ルーチェ・ロータリークーペも展示されていた。正直にいうと、コロナ禍のせいで全ての自動車ショーと授与式が中止される中で、実際にこのように自動車メーカーの本社でデザイン部門のトップにトロフィを贈呈することができるのは名誉と感動としか言いようがない。
モーターショーと授与式の関連性をイマイチ感じないという読者もいるかもしれないので、簡単におさらいしておこう。国際モーターショーがあるからこそ、国際的なカーアワード授与式が存在する。そういう会場に自動車業界の関係者やメディアが集まってくるからだ。つまり、ニューヨーク・オートショーがなければ、ワールドカーアワード授与式は発展しなかったし、ジュネーブ・モーターショーがあるからこそ、欧州カー・オブ・ザ・イヤー賞が開催されてきたわけだ。
実をいうと、ここ数年国際モーターショーは危機を迎えつつあった。例えば、3年ほど前から、ボルボやジャガー・ランドローバーなどが、世界一と呼ばれていたジュネーブ・モーターショーから姿を消し、今までに同モーターショーに投資していた数億円の予算を他の方法で宣伝に使うようになった。
だから、コロナ禍のせいで、ニューヨーク・オートショーのような国際モーターショーがどんどんと中止されたり、フランクフルト・モーターショーやジュネーブ・モーターショーのように完全に消えたりすると、ライブでの授与式の開催もかなり難しくなってくる。ということで、今回の授与式はもしかしたら、近未来の新しい授与式の形になるかもしれない。
今、モーターショーが開催されなくなった世界で、多くのカーメーカーはZoomなどでのオンライン発表を行うようにしてきている。授与式もそうなるだろう。現状は厳しい。晩秋のロサンゼルス・モーターショーが開催されることを願うが、やはりワクチンが見つかって、世界のパンデミック状態が緩和され、来年春のニューヨーク・モーターショーが実現し、ライブで授与式が行えることを願ってやまない。
連載:国際モータージャーナリスト、ピーターライオンの連載
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