「マツダ3」世界一のデザイン賞受賞に思う、モーターショーの重要な役目

マツダ3を前にワールド・カー・デザイン賞の喜びを語る前田常務

今、コロナ禍の影響で国際モーターショーが全面的にキャンセルされたり、トロフィの授与式の形式も変化して、自動車業界はかなり打撃を受けている。

実は、世界のメディア露出度No1というワールド・カー・アワードの代表として、私は今年の4月に恒例のニューヨーク国際オートショーの授与式でマツダのデザイン・ブランドスタイル担当の前田育男常務と、マツダ3のチーフ・デザイナーの土田康剛に、マツダ3が獲得した「ワールド・カー・デザイン賞」を贈呈することになっていたが、パンデミックのせいで、そのオートショーも授与式もキャンセルされてしまった。

贈呈するはずのトロフィは4カ月も遅れてニューヨークから東京にやっと届き、先週、私が新幹線で広島まで出向いて、マツダ本社で100周年を祝いながら、ついにデザイン賞のトロフィを前田・土田両氏に贈呈する授与式を行うことができた。当然、大勢の選考委員やメディアは呼べなかったので、その模様はZoom配信して世界各国の選考委員に参加してもらった。

トロフィーを渡し記念撮影
トロフィーを手にする前田育男常務(中央)と土田康剛(左)

前田は次のようにコメントをした。

「率直に言って凄く嬉しいです。まず、わざわざ広島までトロフィを運んで来てくれたことに対して、ピーターさんにお礼を言いたいと思います。全世界の目利きの優秀なジャーナリストが投票で選んでくれているわけですから、本当に重たい、グローバルで、オンリーワンの賞ですよね。CX-30もベスト3に選ばれていますから、今年はマツダ創業100周年ということもありますので、正直に、マツダのイヤーだったというふうに感じています。それから、僕がマツダのデザイン・リーダーになって、『魂動デザイン』をスタートさせてちょうど10年になります。ですから、100年と10年という、ある節目の年にこの素晴らしい賞をいただけて記念すべき年だと思い、感謝を表したいです」と語った。

土田も嬉しさは隠せなかった。「私も非常に嬉しいです。マツダ3は、スポーツカーでも、EVでも、流行りのSUVでもない、いわゆる大衆車です。その大衆車のデザインがこんなに高く評価されるというのは、チーフデザイナーとして誇らしく思っています。マツダ3のデザインは、キャラクターラインに頼らない、マツダらしい面の造形で見せる、勝負するデザインです」という。

マツダ3のwebサイト
マツダ3のウェブサイトもデザインを強く訴求している
次ページ > 歴代の名車を前に「モーターショー」の価値を再発見する

文=ピーター ライオン

ForbesBrandVoice

人気記事