ビジネス

2020.08.31

米国発のエシカルファッションの新星「Apparis」が欧州に進出

Apparisのフェイクファーコート(Achim Aaron Harding/Getty Images)

社会的意識の高い消費者らは近年、動物性食品を一切摂らないだけでなく、ファッションにおいても動物を犠牲にしないライフスタイルを好んでいる。

そんな中、フェイクファー(人工毛皮)の冬用コートを展開するアパレル企業「Apparis」は300万ドル(約3億2000万円)の資金調達を実施し、米国や海外でのマーケティングを加速している。

Apparisのアイテムは現在、米国の老舗百貨店チェーンのブルーミングデールズや、サックスフィフスアベニュー、インターミックスなどで売られている。同社の2019年の売上は730万ドルに達したが、新たに調達した資金で欧州の販売拠点を拡大しようとしている。

Apparisの出資者にはスーパーモデルで起業家のカーリー・クロスや、NFLのニューイングランド・ペイトリオッツの有名選手らが含まれている。さらに、ベンチャー・キャピタルのThird Kind Venture CapitalやExor Seedsも出資を行っている。

同社を立ち上げたのは現在29歳のLauren Nouchiと37歳のAmelie Brickの2人だ。フランスのマルセイユ出身の2人は最初にボストンで出会い、その後パリで再会し、仕事を辞めてApparisを立ち上げることを決めた。

そして2018年にブルーミングデールズからリクエストを受けた2人は、12着のフェイクファーのコートをプレゼンし、5000着のオーダーを取りつけた。

「私たちは卸売りブランドになるつもりは無かったが、非常に早い時期からブルーミングデールズやサックスなどの大手百貨店から注文を受けるようになった」と、ApparisのCEOを務めるBrickは話す。

Brickと共にApparisを立ち上げたNouchiは、2020年のフォーブスの「30アンダー30」に選出されて注目を集めた。Apparisは最近になって初めて外部から資金を調達した。

Apparisのベストセラーアイテムと呼べるのが、230ドルのGoldieジャケットだ。アクリルとポリエステル素材を用いたこのパーカーは、オーバーサイズなスタイリングと、倫理的な取り組みでファッション業界の注目を集めた。

若い世代の間でヴィーガン食などの動物を犠牲にしないライフスタイルへの支持が高まっていることは、グーグルトレンドのデータでも示されている。エコノミストの記事によると、自らをヴィーガンだと回答した人の割合は2018年にはわずか3%だったが、2019年には、25歳から34歳の世代に占めるヴィーガン及びベジタリアンの比率は25%まで高まっていた。

Apparisは昨年、ダイアン・フォン・ファステンバーグとジャケットでコラボを行った。同社は新たな資金を用いて、より多くの老舗ブランドと提携し、SNS経由で売上を拡大しようとしている。

「本当に素晴らしい冒険がこれから始まろうとしている」と、Brickは話した。

編集=上田裕資

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