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──夏に雪山はなかなかない経験ですね。お仕事のインスピレーションになるようなことはありましたか。
目的地のスキー場までは、首都ブエノスアイレスから飛行機で2、3時間、さらに車で3時間ほど。現地でやることと言えば、ひたすら雪山を登るか、滑るかでした。
アルゼンチンのスキー場にはホテルがいくつもあり、ひとつの街みたいなリゾート地でした。印象的だったのが、屋外に温水プールがあった宿泊先のホテル。雪山を眺めながら、温かいプールに浸かるのが新鮮でした。日本の場合、スキー場と言えば、山小屋や温泉旅館のようなイメージをしがちですが、アルゼンチンでは広場でEDMが流れていて、若者もまったり過ごせる「チルい」空間でした。
スキー場の中にあるプールって、一見相反するものですが、お互いを引き立てあっていて、魅力的な視覚体験になりましたね。日本だと学生が大人数でスノボ旅行などに行くことがよくありますが、社会人になるとなかなか行けていない人も多いのではないでしょうか。快適で人に伝えたくなるようなウィンターリゾートの必要性を感じました。いつか、ぜひ手がけてみたいです。
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──特に緊急事態宣言下では御社のホテルも休業して大変だったと思います。事業を展開する上でどんなことを考えていましたか。
観光業の中に自分たちを置いているから打撃を受けているのであって、脱・観光業化することが大事だと思いました。
例えば、新しく始めた「ホテルシェルター」。家で過ごしづらい事情がある人が長期間住めるようにするため、不動産のような視点を持って準備しました。実際には、夫婦仲が悪く離婚を考えている人や、生活に刺激がなく気分転換をしたい人、県をまたいで電車通勤していてオフィス近くのホテルで過ごしたい人など、さまざまなケースがありました。
コロナ禍にアーティスト・SIRUPがホテルシェルターに賛同したことをきっかけに、コラボ展開も始まった。
5月1日から「HOTEL SHE, OSAKA」で受け入れを開始し、緊急事態宣言解除時に専用の予約プラットフォームを公開しました。タイミングとしてはベストではなかったため、反省点もありますが、感染症予防対策の独自のガイドライン策定やオンライン診療など、安全にお客様を迎えるために準備の時間が必要でした。
そんな中、アーティストのSIRUPさんがこの事業に賛同し、Tシャツの売り上げの一部を寄付していただきました。これをきっかけに「HOTEL SHE,」とのコラボグッズの展開も始まり、近い将来、SIRUPさんのコンセプトルームも発表できたらと思っています。
ホテルというリソースをただ観光業や宿泊業にとどめるのではなく、仕切られた空間の中で生活を営む大きな「箱」として、いま求められている価値にどうやって応えられるかを考えています。ホテルは「空間のメディア」。知らなかった価値や情報を提供する場として可能性を模索しています。
宿泊予約プラットフォーム「CHILLNN(チルン)」や、宿泊施設のコンサルティングなど、他の事業も育成中。チルンはすでに300以上の宿泊施設に登録していただき、IT事業としても伸びています。