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ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信

フェルナンド・タティス・ジュニア選手(Rob Tringali / 特派員 /Getty Images)

若き大リーガーが満塁ホームランを打ち、チームに貢献したというのに、監督から小言を言われ、記者会見の公的な場で、名指しで批判されるという珍しい事件が起こった。

ファンにはよく知られていない大リーガーの間だけで通じる、どこにも書いていないルール(unwritten rules)を破ったからだ。

この暗黙のルール、つまり不文律は、長いこと大リーグに存在しているが、成文化はされていない。そのため、解釈は時代や世代や状況によって変化し、それをめぐってチームどうしで乱闘騒ぎに発展することもある。

しかし、どんなことがあっても、味方は味方、敵は敵。相手チームのクリス・ウッドウォード監督は当然この不文律を破ったことを非難し、マナーが悪いという主旨のことを言ったが、それは敵なので理解できる。

しかし、味方であるはずの自分のチームの監督から批判されるなどということは、かつてなかった。自軍の監督が、部下をかばうことなく、マイクの前で部下を批判するとは何事かとファンは怒っている。さらには、そもそも不文律そのものの存在がスポーツマンシップに反するのではないか、ファン不在だし、そんなアンフェアで古典のようなルールを、メジャー2年目の21歳の選手に対して徹底させるほうが理不尽だと、ファンの猛烈な反発を呼ぶにいたっている。

ファンを白けさせる不文律


ことの経緯はこうだ。21歳の若き天才、サンディエゴ・パドレスの有望スラッガーであるフェルナンド・タティス・ジュニアは、8月17日のテキサス・レンジャーズとの試合で満塁ホームランを打った。

ところが、このホームランは、8回の表、すでにパドレスがレンジャーズに対して10対3と7点もリードしていたときで、かつスリーボール・ノーストライクからの4球目を打ったものだった。

大リーガーの間では、3点以上のリードで7回を超えた打席では、スリーボール・ノーストライクからの4球目は見逃がさなければならないという不文律があるらしい。これに抵触したわけだ。

文=長野慶太

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