経済・社会

2020.08.28 07:30

バイデンは1兆3000億ドルで気候変動を解決できるか?

Photo by Win McNamee/Getty Images

民主党の大統領候補に指名されたジョー・バイデン前副大統領は、8月20日の指名受諾演説のなかで、自分なら気候変動の問題を解決できると訴えた。そしてそのすべてを、税法の改革によって連邦政府が得られる資金で実行できると語った。バイデンは、環境を守り、地球温暖化を終わらせ、化石燃料から脱却するという詳細不明のプランについて、わずか75語の2センテンスで説明した。

バイデンのプランをけなすつもりはない。バイデン陣営は、政策目標の達成に向けて、演説で述べたよりもはるかに詳細な目標と、確固たる道筋を立てている。民主党には、「気候変動と闘い、クリーンエネルギー経済を構築し、環境正義を確保する」ための、一連の詳細な政策を盛り込んだ綱領がある。バイデンの選挙キャンペーンでも、「クリーンエネルギー革命と環境正義のための計画」が発表されている。しかしバイデン陣営は、有権者が民主党の綱領やバイデン陣営の政策案をじっくり見ることを期待していない。

バイデンの受諾演説は、エネルギーと環境をめぐる政治的論争に伴う問題を浮き彫りにした。つまり、それぞれの党の支持基盤の歓心を買うことがつねに念頭に置かれ、焦点が現実に合っていない、という問題だ。バイデンは、ポピュリスト的なメッセージに引きつけられる有権者に訴えるために、この問題を最も基本的なレベルにまで単純化した上で、よりシンプルにした解決策を提示した。

バイデンによれば、「1%の最富裕層と、儲けの多い最大規模の企業」に対してドナルド・トランプ大統領が行なっている税の優遇を終わらせれば1兆3000億ドルが浮き、その財源で「気候変動に対処」できるという。これは、複雑な問題の解決策としては初歩的な提案だ──粗削りと言ってもいいかもしれない。たとえ我々が、気候変動をめぐる議論を無視し、「気候変動」の意味についてたったひとつの解釈しか採用しなかったとしても、この解決策が単純であることは否めない。
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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