WSJの記事は、米国と中国の、避けがたく見える反目における新たな章だ。米中対立はありとあらゆる領域に影響を及ぼしており、大学キャンパスもその例外ではない。
米国の一流大学は、中国出身卒業生からの寄付を重要な資金源としている。中国の団体が研究資金を拠出することもある。大学にとってはいずれも、金銭的な意味で好ましいものだ。だが、米国政府にとってはそうではない。政府内からは、スパイ活動を助長し、金銭的依存につながるという懸念の声が上がっている。そして今回、世界における中国の役割を議論するにあたって自己検閲が行われるという懸念も出てきたわけだ。
世界における中国の役割は、ますます大きくなっている。国際社会のドラマのなかで、中国がすでに米国とともに主役的存在であることは明らかだ。だが、中国の影響力が拡大するなかで、米国の私立大学が授業での表現を変えざるを得なくなるのは、本当に望ましいことだろうか? 米国には適用されない中国の法律に、学生たちが抵触するリスクを避けるために?
米国のトップクラスの大学の一部はそう考えているようだ。アイビーリーグのうち少なくとも2校は、中国人留学生が中国政府という「ビッグブラザー」から不当な扱いを受けないよう、踏み込んだ措置をとっているようだ。ハーバードやプリンストンの内部にまでビッグブラザーの監視が及ぶとは、誰が想像していただろうか?