マイク・タイソンは史上最も恐れられたボクサーの1人です。彼ほどボクシングに習熟した人はいませんが、経済については別の話です。彼は3億ドルを稼いだあと、結局、破産しました。毎月40万ドルかかると言われたライフスタイルは続きませんでした。突然、大金を手にしたけれど、その意味や価値に気づかない人にはよくあることですが、財産をがっぽり持っていこうとする人食いザメがまわりに集まっていたのだと思います。
マイク・タイソン(Getty Images)
しかし、根本的な問題は、彼がお金を“モノを買う道具”としてしか考えていなかったことです。
とくにタイソンをあげつらうつもりはありません。そんな考え方は彼だけのことではありません。スポーツ選手や芸能人、弁護士、医師、企業経営者など、多額のお金が入ってくるのに、すぐ他人のポケットに持っていかれる人はそこらじゅうにいます。お金について考える機会がまったくなかったのでしょう。
難しいことではありません。あなたのお金で何が買えるかを考えてみてください。次に、あなたのお金が何を生み出せるかを考えてみるのです。そして、生み出されたものが、さらに何を生み出せるかを考えます。
このように考え始めると、お金は使うとなくなるだけでなく、そのお金が生み出すはずだったものが失われることも理解できるようになります。
絶対にお金を使ってはいけないというのではありません。使うときに、それがどういう意味かをきちんと理解するということです。
2万ドルで車を買う場合を考えましょう。
車を買えば、2万ドルが消えることは誰でもわかりますよね。でも、ほとんどの人は、リースやローンで買うことの意味を理解していません。彼らがやっているのは、「この車を買うのに2万ドルなんて払いたくないよ。もっとたくさん払いたいんだ」と言っているようなものなのです。
〈レベル2〉機会損失を考えよう
おそらく、これまで考えたことがなく、しかし、ぜひ考えてもらいたいことがあります。それは、現金2万ドルで車を買ったとき、その車の費用は2万ドルよりはるかに大きいということです。
あなたのために働いてくれるはずだったお金がなくなったことで、機会損失が生まれています。投資せずに何かを買ったとき、機会損失が生まれます。
数字にすることは簡単です。そのお金でどんな投資ができたかを考えるだけです。私のお気に入りのVTSAX(バンガード・トータル・ストック・マーケット・インデックス・ファンド:全米株式インデックスファンド)を使ってみましょう。