日々ネット上で開催されるオンラインイベントの中でも、累計200万人が視聴した、「block.fm」主催の「BLOCK.FESTIVAL」は、その成功例の一つだろう。
2011年からインターネットラジオ局としてスタート、現在は音楽ニュースも掲載するメディア「block.fm」を率いてきたのが、☆Taku Takahashiだ。
1998年にVERBAL、LISAと「m-flo」を結成、現在に至るまで、DJ、プロデューサー、経営者として音楽業界の中心で活動を継続してきた彼に、オンラインイベントが形になるまでの舞台裏と、これからのアーティストの可能性を聞いた。
発案からイベント開催までの2週間
新型コロナウイルスの感染拡大により、2月からイベントの中止や延期が相次ぎ、4月には緊急事態宣言が出されました。このままエンタメ業界の自粛が続けば、日本の音楽シーンがダメになってしまうかもしれない。それはアーティストだけでなく、リスナーやサポートしてくれているスタッフも含めて抱いている共通の危機感です。
僕自身、この業界に20年ほど身を置いていますが、今の日本の音楽シーンはとても面白い時期にあると思います。若手のアーティストたちが、マンネリ化していたシーンに対して、新しい音楽や見せ方などを提示して、ヒット曲の方程式をも変化させている。
そんな中でライブは、リスナーとの距離を縮め、音楽シーンを盛り上げる重要な要素であることは、いつの時代も変わりません。ライブができない状況が続けば、この勢いを止めることにもなりかねない。そう考えると居ても立ってもいられませんでした。
そんな初期衝動に突き動かされて、内容が固まる前に、オンラインの音楽フェスを開催するということを「block.fm」の記事で出しました。まず公に宣言して、自分を追い込んだんです。通常なら開催まで2~3カ月の準備期間が必要なところ、2週間で開催までこぎつけることができました。
短期間で形にできたのは、想像していた以上の人が賛同してくれたからです。
オンラインフェス開催の記事を公開して、SNSでもシェアをすると、イベントを形にすることが得意な広告代理店の人やウェブディレクターなど、各分野のスペシャリストを含む本当に多くの友人や知人たちが「一緒にフェスをつくりましょう」とメッセージをくれたんです。