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中国政府が建設を進めた高架道路「海珠涌大橋」が、立ち退きを拒否した女性宅を包囲している。

中国政府が建設を進めた高架道路「海珠涌大橋」が、立ち退きを拒否した女性宅を包囲している。立ち退きに断固反対し続けたこの女性宅の周りを、今では多くの車が四六時中走っている。

以下、英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」から転載して紹介する。


「ネイルハウス」 たった一人の住人


これまでにも中国では、頑固な居住者の家を取り囲むように幹線道路が建設されることがあった。土地開発に伴う立ち退きに応じなかった家主の家は、「ネイルハウス(釘子戸)」と称される。開発業者が、住民のいる家の周囲でひたすら建設を進めるのは珍しい話ではない。建物の一部を取り壊し、残りをそのまま放置することもある。最も有名なのが、温嶺市にあるネイルハウスだ。老夫婦が立ち退きに同意せず、新しい道路のど真ん中に家が残されている。

中国では有名な「ネイルハウス」。これは、建物の解体費用として開発業者が提示する補償額に納得しない、あるいは妥当な補償額を上回る金額をふっかけて紛争に持ち込む家主の家を指す。

中国メディアが公表した映像を見ると、この女性宅は、広州市に新たに開通した海珠涌大橋の車線と車線の間にぴったりと挟まれているのがわかる。4車線ある道路のど真ん中だ。人々は、自分のソーシャルメディアのネタとして、パシャリ。この家を背景に写真を撮っていくのだ。

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この40平米の小さな平屋で暮らす梁氏は、記者に対し、立ち退きを拒否しているのは政府が理想的な場所に代替物件を用意しないからだと語った。それどころか、遺体安置所のそばにあるアパートだったため、納得できないだけだという。もともと計47世帯、7つのオフィスがあったこの場所に、今なお住み続けているのは梁氏1人だけ。他の人々は、政府の提案を受け入れて昨年9月までに退去した。

政府から何度か持ちかけられた提案を、梁氏はすべて拒んでいる。最大限の手厚い補償として、アパート2部屋と130万元(約18万7800ドル)を提示された。ところが、梁氏はマンション4部屋と200万元(約28万9000ドル)を要求したとされる。度を超えた補償を要求しているのは明らかだ。



家主との交渉が決裂したため、政府は当初の計画を変更して「ネイルハウス」を包囲するように高架道路を建設することを余儀なくされた。しかし、報道官は梁氏との交渉を継続する意向だという。それに対し、今回の紛争では大半のソーシャルメディアユーザーが梁氏の強欲さを非難する一方で、彼女の決断を支持する声も上がり、オンライン上では熱い議論が繰り広げられた。

翻訳=神原里枝 編集=石井節子

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