米国の超人気ゲームを中国が検閲、「天安門」の記録映像使用で

Call of Duty: Black Ops(Chesnot/Getty Images)

世界最大級のビデオゲーム企業である米国の「アクティビジョン・ブリザード」が、またもや中国政府による検閲に直面することになった。同社は先週、大ヒットシリーズの「Call of Duty」の最新タイトルのプロモ動画を公開したが、そこには中国の天安門広場で行われた抗議活動の映像が含まれていた。

アクティビジョン・ブリザードは8月19日、「Call of Duty: Black Ops」のプロモ動画を公開した。“歴史から学べ。さもなくば崩壊あるのみ。”とのメッセージを打ち出すこのタイトルのトレーラーには、元KGBのスパイYuri Bezmenovのインタビュー映像に加え、世界各地の紛争やデモ活動の歴史的映像が収められており、1989年に起きた天安門事件の映像が含まれていた。

天安門事件の映像はわずか1秒足らずだが、香港メディアのサウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)によると、中国政府はこれを問題視し、中国のビリビリ動画などのプラットフォームでは、この部分に修正を加えたバージョンが公開された。

アクティビジョン・ブリザードは21日に、天安門事件の映像を削除した短縮バージョンを公開した。

同社は昨年秋にも中国政府との政治的トラブルに巻き込まれていた。同社の人気ゲーム「Hearthstone」の世界大会に出場した香港人のプレーヤーが、香港の民主化運動を支持する発言を行ったのだ。アクティビジョン・ブリザードはその後、問題の選手に出場停止処分を下していた。

しかし、同社が中国寄りの立場をとったことに、米国のゲームファンや政治家は強く反発し、民主党のアレクサンドリア・オカシオ=コルテスや共和党のマルコ・ルビオらが党派の超えて結束し、アクティビジョン・ブリザードを非難した。

中国はゲーム企業にとって世界最大の市場の1つとなっている。中国のテンセントはアクティビジョン・ブリザードの5%の株式を保有している。

「Call of Duty」シリーズは戦争のリアルな描写で知られ、2019年の「Call of Duty: Modern Warfare」では、死のハイウェイと呼ばれる実在の事件をロシアの攻撃によるものと描き、批判されていた。

さらに、SCMPの報道によると2012年に発売された「Call of Duty: Black Ops II」には天安門広場を爆撃する場面が含まれていたため、中国のインターネットカフェでは2018年にこのゲームが禁止されたという

編集=上田裕資

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