シアトルイノベーションツアー


「全員の主体性」がある状況、実はオンラインの方が作りやすい


確かに、ニックネームで呼び合うのはお互いの距離が縮まりそうだ。実際の仕事だと少々難しいかもしれないが。加えてオンラインでは、全員の様子をきちんと確認することができ、良い緊張感が保たれる。オフラインの会議では、後ろの方にいる人にまで発言してもらうことが難しかったり、名前も顔もよく見えないということは多い。そのため、全員が主体性を持って参加している状況は、オンラインの方が作りやすいのではないだろうか。

では、マネジメントされる側が、上司に対して気をつけるべきことには、一体何があるだろうか。

趙氏によると、まずは上司のタイプを見極める。そして、その上司に合った情報共有方法での進捗報告や、5分でも10分でもオンラインで会話をする、といった姿勢を自分から積極的に見せていくことで信頼を構築でき、上司に安心感を与えることができるという。

部下に対しても同様で、オンライン会議では、ブチっと終了し、その後のクールダウンができない、というデメリットがある。オフラインの会議ではその後少し談笑することもできるのだが......。そのためにオンラインでは、会議終了後に「先ほどはお疲れ様でした。何か困ったことがあれば聞いてくださいね」とメッセージを送るようにするなど、アフター会議のケアがあるとよいという。

趙氏は言う。「やはり信頼を勝ち取る人って、相手がやってほしいことをきちんと理解しているのだと思います。今回の外出自粛を機に、オンライン=リアルの代替案という形で入った方は多いでしょう。ですが、『オンラインだからこそできること』にぜひ目を向けてみてほしい。そうすることで、オンラインを自分たちの仕事を効率化に進める仕組みとして活用することができ、良好なワークライフバランスの実現に繋げることができます。そして人間関係を深める良いツールに生まれ変わらせることができるのです」。

「仏作って魂入れず」。今回の対談を終えて、筆者の頭にはこの言葉が思い浮かんだ。オンラインツールは、Web会議システムを始め非常に便利で、今回のコロナ禍を機に、事業を継続する上で必要不可欠な存在となった。

ビジネスの場においてよく言われるのは、目標管理やKPI設定といったツールの重要性だ。しかし、それらをそのまま導入するだけでは、魂の入っていない仏像と変わらない。「魂」とはまさにリモートトラスト、オンライン上で構築できる信頼関係のことだ。今回、コロナ禍という先が読めない未曾有の危機に接し、社員や顧客との関係構築の手法も大きく変わりつつある。その複雑なパズルを埋める重要なピースを見つけた、そんな希望を感じる取材となった。

文=佐藤将之 編集=石井節子・長谷川寧々

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