企業はより効率化を求め、テクノロジーを駆使してサブスクライバー(自らメール配信を申し込んだ人)向けのメール配信に取り組んでいる。興味深いことに、一方ではヒューマンタッチ、つまり「人間味」のあるコンテンツへ回帰しようという動きが見られる。効率性とは一見相容れないような傾向だが、なぜ注目されているのだろうか。
コロナ禍のトレンドは「ヒューマンタッチ」と「共感」
筆者は今年6月、カンファレンス「Email Innovations Summit」にオンラインで参加した。メールマーケティングのカンファレンスとしては世界最大級のもので、著名なマーケターやメールマーケティング関連本の著者など、業界のトップランナーらがプレゼンした。
「Email Innovations Summit」のイベントページ
「いまさらEメール?」と感じる人もいるかもしれない。しかし、企業が消費者や顧客とコミュニケーションを取る際、メールは今でも重要なチャネルだ。セールスフォースやハブスポットなどのMAツールだって、メール配信がベースとなる。
「タイトルのつけ方」から「迷惑メールフォルダに振り分けられにくくする方法」まで、メールマーケティングの分野は幅広い。基本的には、その多くがテクニックを紹介するものだが、今回のカンファレンスでは新型コロナによる環境変化もあり、「コンテンツに人間味を持たせよう」「受け手に寄り添ったコンテンツにしよう」「倫理観を大切にしよう」といった「スタンス」を紹介するセッションが多かった。
メールマーケティングの最新テクノロジーの話をしていたかと思うと、終盤に突然「ヒューマンタッチ(人間味)」や「共感」と書かれたスライドが登場する。カンファレンスの中で、私はこんな場面に何度も出くわした。