サンフランシスコ本拠のUnityは、競合プロダクトのUnreal Engine(アンリアル・エンジン)の提供元のEpic Games(エピックゲームズ)との戦いに備えようとしている。
開発エンジンのUnityは、ゲーム開発者だけでなく自動車デザイナーや映画スタジオなどが2Dおよび3D空間を開発するために使用するツールセットで、ビデオゲームの基盤となっている。
Unityはサービスのサブスクリプションと、商用リリースのレベニューシェアから売上を得ている。同社がSEC(米国証券取引委員会)に提出した書類には、Unityのプラットフォームが月間150万人のアクティブユーザーを抱え、モバイルやPC、コンソール向けに開発されるゲームの少なくとも50%に使用されていると記載されている。
Unityの上場申請はゴールドマン・サックスやクレディ・スイスなどの11の銀行が引き受けており、同社はトレーディングシンボル「U」でニューヨーク証券取引所に申請を行った。
同社の2019年の売上は前年度比42%増の5億4180万ドルで、損失は1億6320万ドルだった。2020年の上半期の売上は、前年度比39%増の3億5130万ドル(約372億円)だった。
Unity の上場に向けた決断は、競合のEpic Gamesがアップルとの法廷闘争を開始したタイミングで行なわれた。Epic GamesはアップルがiOS上のゲーム開発エンジンの未来を脅かしていると主張している。
2004年にデンマークのコペンハーゲンで設立されたUnityは現在、元エレクトロニック・アーツCEOのジョン・リッチティエッロが率いている。Pitchbookによると、同社の評価額は約60億ドルとされている。
Unityの競合であるEpic Gamesは以前から、アップルがアップストアでの売上を30%カットする方針を批判してきた。同社は人気ゲーム「フォートナイト(Fortnite)」にアップルのガイドラインを無視する形でアプリ内課金を実装し、このゲームはアップストアから削除された。
その後Epic Gamesはアップルを相手取った独占禁止法の訴訟を起こしたが、アップルは報復措置として、Epic Gamesの開発エンジンUnreal Engineを用いた全てのゲームを、iOSプラットフォームから追放する姿勢を見せている。