ゲーム開発エンジン「Unity」がIPO申請、競合Epic Gamesとの戦いに準備

「Unity(ユニティ)」CEOのジョン・リッチティエッロ(Photo by Steve Jennings/Getty Images for TechCrunch)

世界のビデオゲーム業界で最も支持される開発エンジンの1つを送り出す「Unity(ユニティ)」が8月24日、上場申請書類を提出した。

サンフランシスコ本拠のUnityは、競合プロダクトのUnreal Engine(アンリアル・エンジン)の提供元のEpic Games(エピックゲームズ)との戦いに備えようとしている。

開発エンジンのUnityは、ゲーム開発者だけでなく自動車デザイナーや映画スタジオなどが2Dおよび3D空間を開発するために使用するツールセットで、ビデオゲームの基盤となっている。

Unityはサービスのサブスクリプションと、商用リリースのレベニューシェアから売上を得ている。同社がSEC(米国証券取引委員会)に提出した書類には、Unityのプラットフォームが月間150万人のアクティブユーザーを抱え、モバイルやPC、コンソール向けに開発されるゲームの少なくとも50%に使用されていると記載されている。

Unityの上場申請はゴールドマン・サックスやクレディ・スイスなどの11の銀行が引き受けており、同社はトレーディングシンボル「U」でニューヨーク証券取引所に申請を行った。

同社の2019年の売上は前年度比42%増の5億4180万ドルで、損失は1億6320万ドルだった。2020年の上半期の売上は、前年度比39%増の3億5130万ドル(約372億円)だった。

Unity の上場に向けた決断は、競合のEpic Gamesがアップルとの法廷闘争を開始したタイミングで行なわれた。Epic GamesはアップルがiOS上のゲーム開発エンジンの未来を脅かしていると主張している。

2004年にデンマークのコペンハーゲンで設立されたUnityは現在、元エレクトロニック・アーツCEOのジョン・リッチティエッロが率いている。Pitchbookによると、同社の評価額は約60億ドルとされている。

Unityの競合であるEpic Gamesは以前から、アップルがアップストアでの売上を30%カットする方針を批判してきた。同社は人気ゲーム「フォートナイト(Fortnite)」にアップルのガイドラインを無視する形でアプリ内課金を実装し、このゲームはアップストアから削除された。

その後Epic Gamesはアップルを相手取った独占禁止法の訴訟を起こしたが、アップルは報復措置として、Epic Gamesの開発エンジンUnreal Engineを用いた全てのゲームを、iOSプラットフォームから追放する姿勢を見せている。

編集=上田裕資

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