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境界線をあいまいにするボーダレス組織論

Hinterhaus Productions / Getty Images

「石倉さんがコミュ障なんて意外です」

ある日のミーティングで、PRやメディア関連のマネジメントをしてくれている横濱桂子さんからこう言われました。でも、私には、その発言自体が意外だったんです。なぜなら、私は間違いなく「コミュ障」と言われるくらいコミュニケーション能力の低い人間だと自覚しているからです。

相手の目を見て話すことなんてできないし、その場の瞬発力で臨機応変に話したり、相手の懐にうまく入ったりすることもできません。

社員との飲み会でも、気づいたら1人になっていることがあるし、大勢が集うパーティでは人見知りを発揮して、名刺を1枚も交換できないまま終わることも。自分が登壇したイベントの懇親会でさえ、1人でぽつんと立っているなんてことも、日常茶飯事です。

それにもかかわらず、コミュニケーションのプロである横濱さんには、自分がコミュ障であることがバレていなかったのはなぜか。

多くの人は「コミュ力がないと仕事ができない」と誤解しています。しかし、これは断言しますが、コミュ力なんてなくても仕事で成果を出すことはできるし、楽しく人生を過ごすことはできます。

仕事=「コミュ力」が高くないとダメ
営業=トークができないとダメ
人間関係=相手の気持ちがわからないとダメ

こうした考えが蔓延してしまうのは、ちまたに存在するコミュニケーションにまつわる言説に原因があるのかもしれません。アルバイトでも就活でも「コミュニケーション力の高い人材」が求められ続けていますから。

加えて世の中には、コミュニケーションをテーマにした本がたくさんあります。私もコミュニケーションがうまくいかないことに悩んでいた時期が長かったので、そういった類のものをたくさん読みましたが、その多くは「どうやったら人間関係を構築できるか」がテーマになっていて、大抵は「相手の気持ちを考えましょう」と書かれていました。読めば読むほど「いやいや、相手の気持ちがわからないからこっちは困っているんだよ」という感情になることばかりだった気がします。

また「苦手なことを克服しよう」とも言われます。それはある意味では正しいと思いますが、苦手なことに向き合い続けるのはとても苦痛です。少なくとも私は、苦手でできないことにずっと向き合い続けるほどの精神力は持ち合わせていません。絶対に途中で逃げてしまいたくなるでしょう。

とはいえ、仕事をしたり、人と生活したりするためには、コミュニケーションが大切なのは間違いありません。そこで私は、「コミュ力を高めたり、苦手に向き合わなくても、仕事で成果をあげるにはどうしたらいいか」「コミュ力がはないままで、なんとか人と生活していくにはどうしたらいいか」を自分なりに考えて、工夫したり実験したりしてきました。

その結果、今は700名以上もいる会社を経営できていますし、コミュ力が必要とされそうな営業や人事という仕事でも一定の成果を出せたと思います。

コミュニケーション能力が低くても、人脈がなくても、仕事で成果を出すことはできます。今回は、コミュ力なんていらない 人間関係がラクになる空気を読まない仕事術という本にも書いた私の経験と工夫について、皆さんに知っていただけたらと思っています。

構成=村上広大

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