ビジネス

2020.08.25

29歳で「ホリプロ」子会社の社長に就任した男の半生

ホリプロデジタルエンターテインメントの代表取締役社長の鈴木秀


黄:私は、ファーストキャリアが大手総合商社で、柔軟性がないといった反発心もありました。もし鈴木さんみたいに、我流でやったあとに大企業に入ると、見方も違ったのでしょうか?

鈴木:我流で生きてきてしまったから、何をするにもフォームが悪く、結果を出すために若干のフォームの崩れも許してしまいます。だから、教えてくれる人がいるありがたみは、普通の人の100倍強く感じるのかな。

黄:でも、指摘を受け入れられずに、心が折れてしまう人もいます。鈴木さんは、どのように指摘を取捨選択して、自分の中でろ過するのですか?

鈴木:指摘してもらうことは、本当に価値があるんですよね。興味がなかったら言わないので。その上で、指摘に対して、自分がどう思うかではなく、客観的にそう見えたら、それが事実。多種多様な人がいる中で、全てを受け入れていかないと、絶対に成長できません。最初の頃は、「絶対に違う」と言われると悔しかったけれど、「こういう捉え方をする人もいるから気をつけよう」と考えることを、ホリプロで学びました。

黄:そうですね。若い時は、気づけませんでした。

鈴木:受け入れると、楽なんですよ。無視していたら、自分の評価も下がって、仲間も離れていきます。いかに20代、30代で柔軟に受け入れていくかは、40代以降のキャリアにつながっていくと思います。

頭が使えなくなれば譲ればいい


黄:キャリアの話で言うと、私は安定志向で、鈴木さんのように、リスクをとることで不安になります。読者の大半も、そうだと思います。

鈴木:自分のポジションではなくて、自分の能力を伸ばすことで、安心感を得る方が良いと思います。僕は、自分が短命だと思っています。命ではなくて、頭が切れる時間がいつまでも持つ訳ではないということです。だから、アクセルを踏み続けていきたいんです。社内のポジションを不安に思う時間を、自分に1個でも尖ったものを作るのに当てれば良いと思います。



黄:私は中国の大手ITベンチャーでも働いていましたが、中国のIT業界では、35歳までに結果を出せないと、業界にいられなくなります。日系企業の良さは、クビにならない安心感によって、最大のパフォーマンスができることではないでしょうか?

鈴木:僕は、自分の椅子を守るのではなくて、能力を発揮できなくなったら、潔く渡すべきだと思います。自分のポジションが、会社にプラスかどうかというのを意識して、働かないといけません。だから、僕より優秀で、会社を大きくしてくれる人間が、会社に興味を持ってくれたら、譲ります。そうならないためにも、あぐらをかくのではなくて、暴れまくるという覚悟を持つことが大事です。

黄:追い込まれて頑張るのは難しいですね。

鈴木:筋トレが終わった時の達成感は、精神を強くしてくれますよ(笑)。

構成=MAAKO 写真=西川節子

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