今回のプロジェクトは「Restart-19」と呼ばれるもので、ライプツィヒのコンサートホールに約2000人を集めて実施され、ドイツ人シンガーのティム・ベンツコ(Tim Bendzko)が出演した。
全てのボランティアはコンサートの48時間前にPCR検査を行い、マスクや蛍光塗料入りの消毒剤を含むハンドジェルを渡された。さらに、他の観客との接触の頻度や互いの距離を電子的に測定するための接触トレーサーも配布された。
当日は3つのショーが開催された。まず1つ目はパンデミック前のイベントを再現したもので、2つ目はパンデミック後の衛生管理を意識し、ある程度の距離を置いたもの、3つ目は観客数を半分程度に抑え、厳格な社会的距離を義務づけたものだった。
ハレ大学(Martin-Luther-Universität Halle-Wittenberg)の科学者たちは今後、接触トレーサーで取得した接触データや、蛍光ハンドジェルが残した痕跡の調査を進めていく。今回の実験は、屋内イベントの急増が予想される冬の時期に備える目的で実施された。実験の結果は、年末までに公開される見通しだ。
「リスクを完全にゼロにすることは不可能だ。我々は政治家が合理的な判断を行うためのツールを与えたいと考えている」と、ハレ大学医学部長のMichael Gekle教授はCNNの取材に話した。
「イベントを開催した場合、どの程度の数の新規感染者が生まれるのかを予測するツールが求められている」
研究チームによると、このような実験がヨーロッパで行われるのは初めてだという。今後はイベントによって異なる予防措置が必要になると考えられており、特に参加者が飲酒を行うイベントでは厳格な対応が必要になる。
ドイツでは7月末から新規感染者数の増加が続いており、8月22日には4月下旬以降で最多となる1日あたり2034人の新規感染者が確認された。