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というのも、特に勉強ができる人のほうが顕著ですが、勉強ができる人、自分が賢いと勘違いしている人ほど、この「作ること」の本質を見落としがちです。いうならば、頭で考え、企画書を作って、広告をうつ、ということがあたかも「何かを作っている」「仕事の本質をやっている」と勘違いしやすい、ということです。もちろんこれらの仕事は重要です。しかし、実際はその真ん中に確実に「作ること」があります。

なにがいいたいのか?

それは、冒頭に申し上げた、ジョブズとジョン・スカリーとの対決はまさに、この「仕事の本質とは、フィジカルな作業である」ということの認識の違いから生じた、と私には思えて仕方ないのです。

そして、これは今の時代、私がとても危機感を感じていることの一つの大テーマです。

労働感を取り戻すために「作る仕事の価値」を残し続けないといけない


私ごとですが、8月6日に新刊『これからの生き方。』という本を上梓しました。おかげさまでAmazonレビューでも相当高い評価をいただいています(既にご購入頂いた皆さんありがとうございます)。

さて、この本のテーマはまさにこの「作ること」であり「作る仕事」です。本編は漫画でできているのですが、主人公は「作る仕事」をしています。具体的には、実在する有名ショコラ店をイメージした、ショコラティエ職人たちと、そのレストランを経営する経営者。そして彼らをある意味で利用したり、消費したりする「メディア」の人という構造で描かれています。(この構造はまさに、スティーブ・ジョブズとジョン・スカリーとの関係と同じです。)

幸いか、不幸にも、この本が出版され、多くの友人に「なぜ、今回は漫画なのか?」「なぜショコラティエなのか?」という質問を受けました。その理由は凄くシンプルに私のこの危機感から来ています。それはまさに「この国では、作る仕事の価値」が見失われつある、ということです。

たしかに、メディアを見れば、なんとなくメディアで目立つ人、なんとなく、カッコいいマーケティング用語を話す人、はわかりやすく目立つことがあります。しかし、冒頭から述べているように、本来の仕事の本質とは「作る仕事」であり、もっとフィジカルなものです。手を動かすものです。

なにがいいたいか?

それはこうです。詳しくは新刊『これからの生き方。』をご覧いただければ幸いですが、もしこの記事を読んだ経営者やリーダーの方が感じる「組織やチームへの課題感」や「事業への課題感」があるのだとしたら、それはもしかしたら「社内の中で作ることを経験した人間の割合が減り、企画や管理しか経験したことがない人が増えてきたから」という可能性はないか? ということです。

言い換えれば、私がいま、この国に必要なのは、労働感を取り戻すために「作る仕事の価値」を感じるような作品であり、機会ではないかと思うのです。この話が皆さんにとって少しでもインスピレーションになれば幸いです。

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北野唯我(きたの・ゆいが)◎実業家、作家。『天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ』など大ヒット著書多数。とくに前作『転職の思考法』20万部突破のベストセラーに。近著に『これからの生き方。自分はこのままでいいのか? と問い直すときに読む本』がある。

文= 北野唯我

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