Skyroraは8月16日、2段式ロケット「Skylark Micro」をアイスランドのランガネス半島から打ち上げた。ロケットの高度は、エベレストの3倍以上の高さに相当する26.86kmに達した。
その後、ロケットはパラシュートを使ってノルウェー沖の海上に着水した。Skyroraによると、ロケットは両ステージとも着水位置が特定できておらず、現在も回収作業を行っているという。
それでも今回の打ち上げはSkyroraにとって大きな成功だ。これまで、同社はより小型の長さ2mのロケット「Skylark Nano」を英国の発射場から打ち上げてきたが、高度は6kmまでしか到達できていなかった。
今回打ち上げたSkylark Microは長さ3.3mで、1kgほどのペイロードを運搬することができる。また、高性能なロケットエンジンを搭載しており、より高高度まで上昇することが可能だ。
Skyroraは来年、より大型の「Skylark-L」ロケットによる宇宙弾道飛行を行い、2023年までにはさらに大型で軌道飛行が可能な「Skyrora XL」ロケットを打ち上げる計画だ。
「Skylark Microの電子機器と通信は、Skylark-LとSkyrora XLと同じであり、今回の打ち上げはそれらのテストを行うことが目的だった」とSkyroraは声明で述べた。同社は、今回の打ち上げでテレメトリやGPSトラッキング、気候に関する膨大なデータが収集できると同時に、クルーが発射手順や海洋での回収オペレーションの練習を行えるとしている。
Skyroraは、今後数日間に渡り2段式ロケットの両ステージを捜索するという。
アイスランドでの打ち上げは50年ぶり
アイスランドでの発射実験を成功させたことにより、Skyroraは自社製の準軌道ロケット用移動式発射台を用いた打ち上げの能力を証明してみせた。同社の幹部は、今年初めにアイスランド企業「Space Iceland」の仲介によりアイスランド政府にロケット打ち上げの申請を行い、認可を得ている。
「アイスランド政府が打ち上げを認可してくれたことをとても喜んでいる。我々は、アイスランドで行った発射実験で、小型でコスト効率の高いロケットを用いた航空電子機器や通信のテストを行うことができた」とSkyroraのCEO、Volodymyr Levykinは声明の中で述べている。
アイスランドで本格的なロケット発射が行われたのは、1964年と1965年にフランスの観測用ロケット4基が打ち上げられて以来のことで、50年ぶりとなる。アマチュアによる打ち上げは数回行われており、最近では2014年に実施されているが、これらのロケットは高度数km程度までしか到達できていない。
「アイスランドにとっても今回の打ち上げは大きなステップだ。今後、我々はロケット打ち上げのライセンスを発行することができる。もちろん、ゴールは宇宙飛行だ」とSpace Icelandのディレクター、Thor Fanndalはアイスランドのニュースネットワーク「RUV」とのインタビューで語った。