この買収が実現すれば、世界最大のホテルグループが誕生するとフランスの日刊紙フィガロが報じた。このニュースを受けてアコーの株価は3%以上、インターコンチネンタルの株価は2%近く上昇した。
ロイターの報道によると現在の世界最大のホテルチェーンは客室数130万室のマリオットだが、インターコンチネンタルとアコーは合計で160万室を抱えており、両社が合併すればマリオットの規模を上回ることになるという。
アコーは約5000のホテル運営し、傘下のブランドにはラッフルズやソフィテル、イビスなどがある。インターコンチネンタルは約6000のホテルを運営し、ホリデーインやクラウンプラザなどのブランドを持つ。両社の合併によって生まれる新会社の時価総額は、約170億ドル(約1.8兆円)に達する見通しだ。
アコーは現時点で正式なアプローチを行っていないものの、同社の経営陣が買収に前向きであることは明らかだとフィガロは情報源を明かさずに伝えた。アコーの会長兼CEOのSebastien Bazinは今年6月に社内でタスクフォースを立ち上げ、買収に向けた調査を開始したという。しかし、彼は慎重なスタンスを崩さず、現時点ではインターコンチネンタル側にコンタクトをとっていないとフィガロは報じている。
アコーの広報担当者はロイターの取材に、噂にはコメントしないと述べた。インターコンチネンタル側も現時点で回答を寄こしていない。
パンデミックを受けて、2社の株価は大打撃を受けている。アコーの株価は今年に入り40%以上下落し、インターコンチネンタルの株価も23%以上下落している。さらに、アコーは今週初めにS&Pグローバルからジャンク・ステータスに格下げされたばかりで、高額な金利支払いに直面している。
ロイターによると、アコーのブランドは欧州に偏っているが、インターコンチネンタルは米国での事業規模が大きく、中国でのプレゼンスが高まっているため、合併は両社にとって意味のあるものになるという。また、本社経費や予約システム、ロイヤルティプログラムなどの大幅なコスト削減も可能になると、フィガロは報じている。
買収メリットを疑問視する声も
しかし、バーンスタインのアナリストは直近のレポートで、この2社の合併は、両社の事業規模の大きさから考えて、非常に複雑な取引になるだろうと述べた。さらに、「今年初めにインターコンチネンタルの株価が底を打ったときには、この買収はより意味のあるものだったが、株価が反発している現在は、そのメリットは減少した」と指摘した。
アコーは、既存のホテルのリブランドに集中する方が良いだろう、とバーンスタインのアナリストは述べている。