久志: そしてやっぱり、サウナってやっぱりすごく楽しいです。その楽しさを感じられる理由はいくつかありますが、その1つは「ギャップ」。サウナって、なんか暑くて冷たくていやだなと思っていたとしても、サウナーの扉を開いた瞬間に「こんな世界だったんだ」って見えなかった世界が見えてくるんです。まさに「ととのう」というそれまで知らなかったことを経験できるのは大きいですね。
2つ目は、単純に、血管がポンプアップされるので、身体的に圧倒的に楽しくなるんですよ。ランナーズハイのような状態が体を動かさなくても味わえる。それがものすごく強烈。
そして3つ目は、日本が「サウナ天国」だということ。これは施設が多いのもそうですし、川や湖などの水源がとても豊富なので、アウトドアのフィールドとして、サウナで遊びやすい環境がある。ここ2年くらい、僕の周りの友人たちは、週末になるとアウトドアでサウナを楽しむ「テントサウナ」に出かける人ばっかりですよ。サウナを楽しめる環境も整っているんです。
久志氏(提供写真)
タナカ:サウナって、火と水と蒸気と風っていう自然の一部に直接触れる体験ができるんですよね。都市にいながら、そういう自然と触れ合えるっていうのは、得難いですよ。だから、私にとってサウナは「親が子供に外で遊びなさい」という感じに似ています。身体の遊びですね。
サウナは「最高の休息」
──サウナでととのうことの一番大きな効用とはなんでしょうか?
タナカ:「うまく休めるようになる」ことかなと思います。意外と「休む」って難しいものじゃないですか。たとえば、ソファでゴロンとしていても、思考が働いていれば、まだ「思考の世界」にいるということだから、本当の意味で脳が休まっていないんじゃないかなって思うんです。
久志:日本人って、休むのが下手すぎますよね。
タナカ:「温冷交代浴による恍惚」がサウナのととのい効果だと言いましたが、ある人にとっては、僕たちのサウナ時間がヨガの時間だったりするかもしれないし、瞑想の時間だったりするかもしれません。
ただ、その瞑想やマインドフルネスには、テクニックが必要ですよね。「瞑想しなさい」って言われても、意外と難しくて、思考の世界から抜け出せなかったりする。でもサウナって、「暑い」とか「冷たい」とか、強制的に感覚の世界にダイブさせてくれるのがいいんですよ。
久志:ヨガも修行期間が長かったり、瞑想を実践している人も、実はその価値を享受できていない場合が多かったりしますよね。思考の世界を忘れようと思ってヨガや瞑想をやったのに、逆に思考から離れられなくなって、考え事のループに侵されてしまうこともある。
でも、サウナは、10分のサウナ室と1分の水風呂の往復だけで、一気にワープできる。それはすごく魅力的ですよね。僕もまさに「サウナとは最高の休息」だと思います。