Fitbitがこれまで成し遂げた最も重要な成果と言えるのは、症状が現れる前日に新型コロナウイルス感染症の半数を70%の精度で検知できるというものだ。同社のリサーチ部門のConor Heneghanは公式ブログに興味深い投稿を行った。そこには、じっくりと読んでみるべき事柄が書かれているが、ここでは要点のみを整理しておきたい。
Heneghanによると、新型コロナウイルスの患者たちが最も多く報告しているのが疲労感だという。一方で、発熱を訴えた患者の割合は55%に留まっており、感染を検知するためには検温だけでは不十分かもしれないことが示されている。
Fitbitは感染の早期発見のために、呼吸数や心拍の変動、安静時の心拍数を指標として用いている。免疫システムがウイルスに反応した場合、HRV(心拍変動)が減少し、呼吸数や心拍数は増加する。
「これらの指標の変化は、患者らが症状を訴える1週間近く前から出現する」とHeneghanは述べている。
しかし、ここで疑問として浮かぶのは新型コロナウイルス以外のささいな病気によっても、同様な呼吸数や心拍数、心拍変動の変化が発生するのではないかという点だ。しかし、Fitbiの研究はまだ初期段階であり、今後も調査は続いていく。
同社は初期の研究の成果を査読ジャーナルに掲載しているので、より深く理解したい人は読んでみることをお薦めしたい。今回の調査には、これまで米国とカナダの10万人以上のFitbitユーザーが参加した。そのうち1000人が新型コロナウイルスの感染症を発症していた。
Fitbit以外にも様々な団体が、ウェアラブルデバイスを用いて新型コロナウイルス感染症の検知や、回復プロセスの調査を進めている。英国のキングス・カレッジ・ロンドンや米国のカリフォルニア大学においても、ウェアラブルを活用した研究が進んでいる。