ダンスのプロが競う日本発「D. LEAGUE」はスポーツの新しい未来を切り開くのか

2011年から中学で必修化された「ダンス」。プロリーグ発足でさらなる人気となるか(Shutterstock)


5G時代の新しいスポーツの魅せ方をダンスは切り開くか?


時代は5G。記者会見では話題にならなかったが、「D. LEAGUE」も映像配信でその流れに乗ろうと目論んでいるはずだ。

現在のZ世代はスナップチャットなど「秒」で楽しむ短尺の動画アプリによる影響からか、短時間で完結するフォーマットに慣れている。よって野球やサッカーのように、何時間も「画面」を見ていなければならないスポーツよりも、数分で決着がつくフォーマットと親和性が高い。TikTokでダンスと音楽をカップリングし、ユーザーがやり取りしている昨今を振り返れば、2分のパフォーマンスで決着する「D. LEAGUE」のフォーマットに合致する。

ダンスステージはコンサートのように一面だけにアピールするパフォーマンスと異なり、360度がアピールの対象となる。つまり、どの角度から動画撮影してもコンテンツになりえる。観客があらゆる角度から撮影した動画は、そのままユーザージェネレイテッドコンテンツ(UGC)として、自由に配信されるケースも想像される。また、ステージ上のダンサーにスマホをかざすと、AR技術によりその場でコスチュームが検索され、購入できるECへと繋がるといったことも想像に固くない。もちろん、こうしたシナリオが想定されたからこそ、通信会社として「D. LEAGUE」とビジネス領域を検討したわけだ。

記者会見通りであれば、「D. LEAGUE」の開幕は2021年1月10日。その暁には、ダンスこそがスポーツの新しい魅せ方を体現してくれるのではないだろうか。

かねてからこのプロジェクトへの参画が確実視されていた人材派遣会社フルキャストホールディングスから、平野岳史氏が「D. LEAGUE」のCEOに就任。神田氏の初期構想では、12チームとされていたが、今回は8チームからのスタートとなる。計画書の構想と比較するとスポンサーやオンエア局が発表されていない点、ドラフト制を採用するとしていたチーム編成などが具体化できていない点など、懸念は残る。だが、まずは新領域へのスタートを切ることが先決だ。

ダンスは日本のスポーツ界に驚きをもたらしてくれるのではないか。これまでに以上に注目していきたい。

連載:5G×メディア×スポーツの未来
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文=松永裕司

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