ダンスのプロが競う日本発「D. LEAGUE」はスポーツの新しい未来を切り開くのか

2011年から中学で必修化された「ダンス」。プロリーグ発足でさらなる人気となるか(Shutterstock)


ダンスをスポーツとして、つまり競技としてどう確立するかという問題点は残されていたものの、学校教育に取り込まれたという事実から、部活動としての地位を不動のものとした。8月18・19日には、第13回日本高校ダンス部選手権の全国大会が横浜で開催され、13人以上から40人までの演技を競う「ビッグクラス」の部で、同志社香里が2年ぶり6度目目の優勝を果たした。他にも登美丘など全国的知名度を誇る強豪校の存在もある。中学校で強豪のダンス部を目指すための進学指導が行われることも今や当たり前という時代になった。

さらに国際オリンピック委員会(IOC)の決定により、2024年のパリ大会から「ブレイクダンス(ブレイキング)」がオリンピック種目となる点を踏まえれば、ダンスをスポーツとして捉えない訳にはいかない。

日本最大級のダンスイベントで感じた甲子園のような熱気


神田氏は、そのダンスのプロ競技化にいち早く目をつけた者のひとり。「競技化」とひと口に言っても、そもそもスポーツとしてのフォーマットが存在しない。神田氏はそこに目をつけた。彼が代表を務めるアノマリーが主催する日本最大級のダンスイベント「DANCE ALIVE」は2005年から15年の歴史を持つ。

今年は9月21日に開催予定であった「DANCE ALIVE HERO’S 2020 FINAL」が新型コロナの影響で延期に。来季の「2021シーズン」の決勝大会との合同開催が発表されている。この大会はキッズ、中学生、高校生、高校生以上が参加可能なブレイクダンスを含めた4つのカテゴリーから成り立つ全国規模の大会で、ここで用いられたフォーマットがプロ化の指針となっている。

2019年4月に東京の両国国技館で開催された「DANCE ALIVE」へと実際に足を運んでみたところ目から鱗が落ちるような体験だった。

国技館の土俵と同じ位置に設けられたステージ上は、エンターテインメント的な演出は派手ながら、ダンス対決はもちろん真剣そのもの。登美丘高校を始めとするダンス部による本格的なパフォーマンスが繰り広げられる。観客席には応援に駆けつけた、しかしダンスとは一見したところ縁遠そうなママ・パパたちの熱気……それは甲子園球児に声援を贈る人々に勝るとも劣らない。いつしか、私自身もステージ上へと夢中で声援を贈っていた。ダンス・キッズから大人まで、保護者も友達も巻き込んだ一大イベントだった。



今回発表された「D. LEAGUE」の対戦フォーマットは、このイベントの発展形である。各チームが2分から2分15秒程度のパフォーマンスを順に披露し、その対戦を観てダンサー審査員2名、文化芸能人審査員2名、観客全体で審査員1名とカウントし、勝敗を決する。「DANCE ALIVE」の会場では、観客がカラーボードを掲げることで、多数決のようにポイント換算がされていたが、「D. LEAGUE」では専用アプリからの「いいね」によりカウントすることが可能になった。
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文=松永裕司

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