こうして生まれたビア・ジンの商品名は「REVIVE」だ。
再び蘇る意味として、申し分ない命名かもしれない。きっかけ、製造工程、この機に行うこと、新しい命の意味を多様に内包した過程と商品名だろう。そして今回のプロジェクトでは3社がそれぞれの立場で想いをREVIVEしたようだ。
老舗酒造メーカーとしての大倉は言う。
「少し閉塞のある日本酒業界ですが、実は地酒蔵やベンチャー企業がいろいろなチャレンジをしています。とてもつもないスピード感で進む今回のプロジェクトに、私たちも再活性されました。月桂冠というメインストリームのブランドも、今回の挑戦が突破口となり、新しいブランドイメージに踏み出すことができた。これは大きな転換点です」
バドワイザーも達成感を得た。
「ABIが目指す人と人とのつながりで世界を良くするというモットーの具現化でした。私たちのビールからジンが生まれるという試みは、世界のバドワイザーのグループとしても興味深く見てもらっています」
本稿の冒頭にREVIVEはアルバムタイトルのようだと記したが、山本はニルヴァーナを例にこう締めくくった。
「ニルヴァーナの名曲『Smells Like Teen Spirit』のようだなと感じています。若さゆえのもどかしさを爆発させたこの曲は当時完全にオルタティブでしたが、それが今ではメインストリームになった。今回のプロジェクトは世界的ビールブランドと日本を代表する日本酒ブランドの協力で、ビール由来というオルタナティブを生み出した。これが、受け入れられ評価されてメインストリームになっていく。あの3社は何か面白いことをやっているなと。そうなっていけば嬉しいですね」