ビジネス

2020.08.20

ウーバー「差し止め命令」に米市長ら反発、住民に不利益と主張

Mario Tama / by Getty Images

米カリフォルニア州の上級裁判所は8月10日、配車サービス大手のウーバーとリフトに対し、運転手の地位を独立契約社員から社員に変更するよう求める、暫定的な差し止め命令を出した。しかし、同州で2番目と3番目に大きな都市であるサンディエゴとサンノゼの市長らは19日、この法律の施行を遅らせるよう裁判官に求めた。

市長らはこの法律が施行された場合、「取り返しのつかない損害が生じる」と述べた。

共和党のサンディエゴ市長ケビン・フォールコーナーと、民主党のサンノゼ市長サム・リカルドは共同声明で、州とライドシェア企業らがサービスの停止を回避するための交渉を行うことを望んでいると述べた。

フォールコーナーとリカルドは、ドライバーを独立した契約者として維持することを求め、「ポータブル・ベネフィット」と呼ばれる新たな仕組みで、ギグワーカーらに福利厚生を提供できることを示唆した。ウーバーCEOのダラ・コスロシャヒも今年、ニューヨーク・タイムズに寄稿した記事で、ポータブル・ベネフィットの利点を説いていた。

市長らは、ウーバーやリフトがカリフォルニア州でサービスを停止すれば、住民や経済に打撃を与えると述べ、ライドシェア企業のサービスが、患者の病院への送迎に利用され、交通手段を必要とする労働者にとっても重要だと話した。

一方で、この法律の支持者らは、ウーバーとリフトらが労働者に必要な福利厚生を提供してこなかったことを責めている。ロサンゼルス市議会のマイク・ボーニン議員は、この2社が「パンデミックと不況の真っ只中で失業者を放置した」と非難した。

州の議員や労働団体は、ウーバーとリフトがドライバーらに最低賃金や病気休暇など、労働者に与えられるべき権利を与えていないと述べている。

カリフォルニア州の裁判所が10日に下した命令に、ウーバーとリフトは強く反発している。ごく短期間で、ビジネス全体を変えるには膨大なコストがかかり、現実的ではないというのが彼らの主張だ。2社はまた、ドライバーを従業員にすることで、価格が上がり、サービスの利便性が低下すると述べている。

サンフランシスコ市は決定を支持


ロサンゼルスのエリック・ガルセッティ市長は、先週のツイートでこの論争には直接ふれず、「ライドシェアのドライバーは良い生活を送るに値する」と述べた。また、「サービスを停止することはすべての人を傷つけるだろう」とも指摘した。

一方で、サンフランシスコ市長のスポークスマンであるアンディ・リンチは、ウーバーとリフトが重要なサービスを提供していることを認めたが、「サンフランシスコ市長はAB-5(ギグワーカーの地位向上を目的とする新法)を支持しており、企業は法律を遵守する必要がある」と述べた。

編集=上田裕資

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