『GAFAの決算書 超エリート企業の利益構造とビジネスモデルがつかめる』著者であり、マサチューセッツ州立大学MBA講師の齋藤 浩史氏が「決算書」から紐解く。
TikTok買収交渉でも注目の企業
Google、Apple、Facebook、Amazonの頭文字を取ったGAFA(ガーファ)。現在、時価総額の世界ランクTOPグループをこのGAFAの4社が占めていることはみなさんご存じでしょう。
このGAFAに対抗できうる「Next GAFA」として、取り上げたいのがマイクロソフトです。マイクロソフトは、2020年1月時点で時価総額が1兆ドルを超したスーパーメガテック企業だからです。GAFAの創業年数と比較するとマイクロソフトは古参企業なのですが、いまだその勢いは止まりません。
創業して45年が経ち、なぜ今この会社にスポットライトが当てられているのか? また、2020年8月に動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」をマイクロソフトが買収を検討しているとの報道がありましたが、その狙いは何なのか? 決算書を通じて、マイクロソフトの「強さ」を紐解いていきたいと思います。
マイクロソフトは、他の企業と違い6月が決算月のため、分析するときには、それを加味する必要があります。約1年前のものになりますが、ここでは2019年6月30日に提出された「10K(米国企業が毎年提出する年次報告書)」をベースに分析をしていきます。
バランスのとれた売上構成比
まずマイクロソフトの各製品やサービスの対売上割合について分析をしてみましょう。
マイクロソフトの製品は以下三つのセグメントに分けることが可能です。
BtoB:生産性とビジネスプロセス(対企業のビジネス)
BtoC:パーソナルコンピューティング(対個人のビジネス)
クラウド:インテリジェントクラウド(クラウドビジネス)
マイクロソフトの10K内では、各セグメントの製品・サービスに関する売上を発表しています。これに売上割合を加えたのが下図です。クラウドビジネス(アジュール)、OS、Office365、Surfaceなど、多岐にわたる商品ラインナップで、どれも平均的に30~40%の割合とバランスが取れている状況といえるでしょう。
マイクロソフトは、このように製品・サービスラインナップが多いことが特徴にあります。ただ、なぜこのように各分野の売上を高く保つことが可能なのでしょうか?
ラインナップが多いと収益を得られない製品・サービスが売上増加の足かせになることもあります。ただ、マイクロソフトはそのバランスを良く取ってさらなる成長をしているように見えます。