ビル・ゲイツ退任以降も増えるキャッシュフロー
一時は一世を風靡したWindowsのシェアはアンドロイドに奪われ減ってきていますが、先述したように、他の製品の売上が補ってきています。
名経営者として有名なビル・ゲイツが2000年にCEOを辞任し、2020年3月に取締役を退任した後にも、業績は変わらず好調です。
注目したいのは、重要な経営指標であるフリーキャッシュフロー(FCF:企業が自由に使えるお金で、本業から得られる営業キャッシュフロー[営業CF]から投資キャッシュフロー[投資CF]を引いたもの)や、純利益も年々増えてきている点です。
グラフを見ると純利益が増加していくとともに営業CFも増えていることがわかります。一方、FCFは2012年近辺から2016年まで営業CFの増加とは反対に下落傾向でした。そして現在に至るまで営業CFとFCFの差は拡大しています。
これは、マイクロソフトが積極的な投資をしてきたことから、多額の投資CFを計上してきたためということがわかります。マイクロソフトは、過去の歴史を見るとキャッシュリッチで借金をあまりしない企業体質でしたが、現ナデラ・サティアがCEOに着任した2014年以降はデータセンター設備への投資などリスクを取って成長させる経営へと変化してきたと考えることができます。
・強力な財務体質
・安定的な既存ビジネス
・積極投資
これが創業45年をしても、いまだGAFAに対抗できるマイクロソフトの強みなのです。
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さて、最後に7月22日にマイクロソフトが発表した2020年第4四半期(4-6月期)決算について見ておきましょう。
売上高ですが、13%増の380億ドル、純利益は15%減の108億ドル、EPS(1株当たりの純利益)は1.46ドルでした。
売上高は上昇した一方で、純利益が減少したということはマイクロソフトの業績は鈍化したのか?と思うかもしれませんが、決してそうとも限りません。株式市場ではアナリストが予想した数値をベースに業績を判断することが通常です。そしてマイクロソフトの場合には、売上高・純利益ともにこのアナリスト予想を上回りました。
このコロナ禍での業績の伸びは、外出自粛による“巣ごもり需要”が大きな原因とみられています。特にこの4Q(Quarter;四半期)の伸びが目立ったのが、XboxとWindows Surfaceで、それぞれ65%増、28%増という結果でした。
これだけの材料がそろったわけですから株価も上昇すると予想されましたが、それに反し市場はあまりよい反応をしませんでした。結果、マイクロソフトの株価は約2-3%の下落。一体何が起こったのでしょうか?