ビジネス

2020.08.26

GAFAに対抗できる? 「マイクロソフト」の強みの正体

Jeenah Moon/Getty Images


その理由の一つとして、マイクロソフトは従来の製品・サービスの強みを活用しながら、今後成長が期待される製品に力を入れているということでしょう。クラウドビジネスは多くの競合企業がひしめく激戦区であり、ビジネスとして収益化ができるのかが問題になってきますが、マイクロソフトは独自の強みをテコに成長分野の売上を伸ばしているのです。

たとえば、BtoB内のOffice 365ですが、オンプレ(製品売り切りビジネス)からサブスクリプションに変化させることで継続的な収益を得ることができるようになりました。この収益を使って比較的新しい分野であるクラウドビジネスなどの成長を促していくのです。これは他社では真似できないマイクロソフト独自の強みでしょう。

2年前と比較すると「生産性とビジネスプロセス(Office、LinkedIn等)」と「インテリジェントクラウド(アジュール、Server、Github等)」ともに40%近くの成長を果たし、徐々に売上割合を伸ばしていることがわかります。

アジュールを筆頭にクラウド部門が業績を牽引


ただし、マイクロソフトの利益率は、時代が進むにつれて下落していきます。企業が大きくなればそれだけ売上の伸び率も低調になりますし、利益率も下がってくるのは理解できます。しかし、そのように成熟企業になりつつあるマイクロソフトの時価総額は急上昇し、2020年1月時点で1兆ドルを超えるモンスター企業へと変化していくのです。

この快進撃の裏側には、マイクロソフトのクラウドサービスの躍進が挙げられます。マイクロソフトは、ビル・ゲイツ以降成長性に乏しい会社になりました。携帯・クラウド・SNS全ての分野でGAFAに遅れをとってしまうことになりました。しかし、全世界のwindowsユーザーを持つマイクロソフトは、その強みを最大限に生かしクラウドサービスへの全面移行を決めるのです。



上図は2014年度から2019年度までのCommercial Cloud Revenueの推移です。この中に「アジュール」などが含まれています。

アジュールは、2010年初頭に世界市場でサービスが開始されて以来、企業でも普及しIT基盤として広く使われるようになってきました。10年近くたった今でさえも、アジュールを軸にクラウドサービスは40%前後の成長率を叩き出しています。

これが株式市場でマイクロソフトが評価される理由なのです。
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