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2020.08.20

ジャック・ドーシーの後悔。ツイッター創業時に「しなかったこと」

ツイッターCEO、ジャック・ドーシー(Getty Images)

ニューヨーク・タイムズの人気ポッドキャスト番組「ザ・デイリー」で8月7日、「Jack Dorsey on Twitter’s Mistakes(ジャック・ドーシーがツイッターの誤ちを語る)」が配信された。

冒頭、インタビュアーであるマイケル・バーボラ記者の「あなたは自分を地球上でもっともパワフルな人間だと思いますか?」の直撃質問に対して、ツイッターCEOジャック・ドーシーは次のように答えた。

「いいや、違う。ツイッターをパワフルにしているのは、ツイッターを使っている人たちだ」

発明したのではない、発見したのだ


ツイッターがサービスを開始したのは2006年7月、2004年の創業当初から学生のみにユーザーを限定していたフェイスブックも、それに刺激を受けてか、同年9月26日からは一般にも開放している。

米国のUXデザイナー、クリス・メッシーナが世界初のハッシュタグ「#barcamp」を使ってツイート(当時は「#」を「パウンド」と言っていた)し、ツイッターに上がる情報の「流通量」と「流通スピード」に革新を起こしたのは、早くも開設の翌年の2007年8月23日のことだった。

その後「ツイッター」と「ハッシュタグ」は、「#Me too」「#blacklivesmatter」を始め、実に多くのソーシャルムーブメントを形成し、世界を動かしてきた。現在ではツイッター上だけで、実に「1日に2億」ものハッシュタグが使われている。


クリス・メッシーナが世界初のハッシュタグ「#barcamp」を使ったツイート

前述のインタビューで、ドーシー氏自身が「われわれはツイッターを発明したのではない、発見したのだ」と言っているとおり、ツイッターというプラットフォームは、開設当時からすでにこんなふうにユーザーに所有され、ユーザーによって「デザイン」され始めていたのかもしれない。

フェイスブックはツイッターを後追い?


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Getty Images

そのようにユーザーによって「進化」してきたツイッターには、誤報や思想の分極化、差別的概念拡散といった社会への負の影響について、フェイスブックよりも積極的に具体的な方策を取ってきたと評価する声も少なくない。

たとえばこの5月末、同社は、トランプ大統領の2つのツイートとホワイトハウス公式アカウントからの1つのツイートに対し、ユーザーの注意を喚起するラベルをつけた。対象となったのは、大統領選における郵送投票を批判するものや、ミネアポリスでの抗議行動に対して「州兵を送り込む」「略奪が始まれば、発砲が始まる(When the Looting Starts, the Shooting Starts)」などと威嚇したツイートに対してだ。

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Getty Images

またそれに先立つ4月には、ブラジルの政治家であるオズマール・テラの、「自粛は新型コロナウイルスを逆に拡散させる」というツイートにも、リリースしたばかりのこの「ラベル」を貼っている。
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文=石井節子

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