マッケンブリッジはイーデン・ヘルスを、スコット・サンソビッチと共に創業した。現在、同社の最高製品責任者(CPO)を務めるサンソビッチとは、ハーバード大学の学部生だった時代に、入学から3日目に出会ったという。
マッケンブリッジは、医療セクターへの参入を志した背景には、医療業界の問題点を目の当たりにした子ども時代の体験があると語る。彼には病名のわからない病気に苦しむ姉がいて、頻繁に医師の診察を受けていたという。「4年の間に、(姉は)70人以上の専門医をたらい回しにされた。そこには医師同士の連携というものがまったく存在していなかった」と当時を振り返る。
イーデン・ヘルスへの需要は、このパンデミック期間中に500%と急増したというが、同社は具体的な収益データの公表は拒否した。
現在、遠隔医療の市場は450億ドル規模にまで成長を遂げた(Statista調べ)。その一方でこの業界には、提供する医療の質や、プライバシーに関する懸念から、厳しい目も向けられている。8月7日にはニューヨーク・タイムズが、「テキストメッセージによる医療サービス」を提供するTalkspaceという企業に関して、取り扱いに注意を要する患者の情報の扱いに問題があると告発する記事を掲載したばかりだ。
とはいえ、適切に行われれば、遠隔医療は対面での診察と同等の効果を発揮するケースもあると、専門家は指摘する。ハーバード・メディカルスクールの准教授、カレン・ドネラン博士は、「マサチューセッツ総合病院での我々の研究では、動画によるバーチャル診察を体験した患者は、対面での診察よりも利便性が高いと回答している。また、体感レベルでの医師とのコミュニケーションや全体的な医療の質も、(対面と)特に変わりはなかった」と指摘する(ただしこれは、イーデン・ヘルスの提供サービスに対するコメントではない)。
ドネラン博士は、さらにこう付け加えた。「新型コロナウイルス感染症は、初期治療から緊急医療、そして緩和ケアに至るまで、医療の状況を根底から、急速に変えている。生身の人間が関与することが不可欠な部分はどこなのか、見極める必要がある」
一方、イーデン・ヘルスを率いるマッケンブリッジは今後、同社が謳い文句通りに質の高い医療サービスを提供し、それが不動産オーナーの事業継続の支えになることを身をもって示す必要がある。これについてマッケンブリッジは、「非常に効率性の高い、臨床的な裏付けのある方法で構築することがとても重要だと当社は考えている」と述べている。