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2020.08.21

楽天と歩んで17年 佐藤可士和が語る「ブランディング」の極意

楽天チーフクリエイティブディレクターの佐藤可士和(左)(c)楽天

数年前から「デザイン思考」や「デザイン経営」が騒がれるようになり、2018年には経済産業省・特許庁が「デザイン経営宣言」を発表。企業における経営課題や成長鈍化の打開策としてのクリエイティブが話題となって久しくなった。

しかし、今から20年以上前にその領域に気づき、推進してきた人物がいる。「SAMURAI」クリエイティブディレクターの佐藤可士和だ。大学卒業後、博報堂のアートディレクターとして活躍してきた佐藤は、「デザインにはもっとできることがある」と2000年に独立。経営とクリエイティブの融合において第一線を走り続けている。

ユニクロのグローバル戦略、セブンイレブンのプライベートブランド、TSUTAYAのリブランディングなど、私たちが日常触れる企業や商品の多くを手がけているが、その中でも独立初期から携わっているのが三木谷浩史率いる「楽天」のブランディングだ。

その楽天においては今年7月、4種類のコーポレートフォントを開発したことを発表した。「これでデザインのベースが揃った」という佐藤に、17年にわたる楽天のブランディングとその戦略について聞いた。

独立後いち早く、三木谷からの誘い


博報堂での11年のキャリアを経て、佐藤が「SAMURAI」を立ち上げたのは2000年のこと。「デザインには、広告だけでなく、企業のあらゆる課題を解決する力がある」という思いからの独立だった。

当時は、“ブランディング”という言葉こそあれ、特に日本ではまだ浸透していない時代。そんななか、「今後の会社を大きくしていくには、ブランディングやデザインの力が重要になる。一緒に挑戦してほしい」と、いち早く声をかけたのが三木谷だった。

「2003年、楽天が六本木ヒルズに移り、ステージが変わるタイミングでした。これは今も変わりませんが、二人で膝を付き合わせて、事業の展開のイメージやルールについて話し合いました。三木谷さんの頭の中にあるものを、僕がフォーマット化したり、ビジュアライズしたり。戦略を可視化していくイメージですね」
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文=横山理恵 編集=鈴木奈央

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