増え続ける新型コロナ感染の後遺症、「脱毛」の報告も

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、まるで“動く標的”だ。公衆衛生当局の関係者や科学者たちが感染者の症状について分析し、理解を深めていくなかで、このウイルスについてはほぼ毎週、何かしら新たな発見がある。

米疾病対策センター(CDC)がウェブサイト上でCOVID-19関連の情報を提供しているページには、現れる症状として「発熱・寒気、咳、息切れ・呼吸困難、倦怠感、筋肉・体の痛み、頭痛、味覚・嗅覚障害、喉の痛み、鼻づまり・鼻水、吐き気・嘔吐、下痢」などが記載されている。

そして、そこにはさらに、「さまざまな症状が報告されている」とも書かれている。実際のところ、このウイルスがどのような症状をもたらすかを特定するにあたって、専門家たちはさまざまな不確実性に直面している。

米インディアナ大学医学部とCOVID-19のパンデミックの収束を目指す団体「サバイバー・コー(Survivor Corps)」は先ごろ、感染の後遺症について共同で実施した調査の結果をまとめた報告書を公開した。

査読済みの論文ではないものの、COVID-19が体の複数のシステムに多大な影響を及ぼしていることが説明されており、その内容には驚かされる。肺に症状が出ることは、すでにある程度認識されているが、「脳、全身、目、皮膚にも症状が出る」ケースが多いことが示されている。

調査結果のなかで特にショックを受ける人が多いと考えられるのは、423人が感染後の症状として「脱毛」を挙げていることだ。これは比較的最近になって明らかになった症状のひとつであり、医学界も注目し始めているものだ。

原因は「トラウマ」か


米オハイオ州のクリーブランド・クリニックもまた、サバイバー・コーと同様の結果を示す報告書を発表している。皮膚科が専門のシルピー・ケターパル医師は、感染者にみられる脱毛は「休止期脱毛症」と呼ばれるものであるとの見方を示し、次のように述べている。

「2~3カ月前に感染した人たちの間に、脱毛がみられます。症状が現れるタイミングが非常に重要です」
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編集=木内涼子

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