コロナの影響は米賃貸市場にも 家賃高め・安めの都市の差縮まる

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賃貸市場は現在でも、安定とはほど遠いものだ。しかし米国ではある2つの重要要素から、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)により米国中の家賃に絞り効果が生じていることが示唆されている。それは、家賃が特に高い都市で家賃が下がり、手頃な都市で家賃が上がっていることだ。

インターネット賃貸サイトのザンパー(Zumper)によると、米国では新型コロナウイルスの流行がなかなか収まらず、遠隔勤務をしながら生活費が安い地域に住むことを選ぶ人が増える中で、このシーソー効果がこの夏加速を続けている。

同社の共同創業者であるアンセモス・ヨルヤデス最高経営責任者(CEO)は「当社の8月の全国家賃報告書では、家賃が高い10市場のうち7つで、前年と比べた減少率が先月よりも大きいことが分かった」と述べている。「さらにこうした都市のうち5つでは、今月の前月比減少率が先月よりも大きかったことが分かっている。一方、この報告書で家賃が特に低いとされた10都市のうち、(前年比で寝室1つのアパートの)家賃が下がったのは1つだけだった」

米国で家賃が高い都市トップ2のサンフランシスコとニューヨークでは家賃が下がり続け、寝室が1つのアパートの家賃はそれぞれ昨年と比べて11%と7%下がっている。

同報告書で分析対象となった100都市のうち家賃が特に手頃だった都市トップ10の中で、寝室が1つのアパートの家賃中央値が減少したのはオクラホマ州タルサだけだった。

ヨルヤデスは「従来家賃が高かった都市が安くなり、安かった都市が高くなるにつれ、米国の家賃の格差は縮まっているように見える」と述べている。

米国全土の寝室1つのアパートの家賃は前月に比べ0.3%上昇し、中央値は1233ドル(約13万円)だ。寝室が2つのアパートの場合、前月に比べた上昇率は0.6%で、1493ドル(約16万円)となった。今年これまでのデータによると、寝室が1つと2つのアパートの価格はそれぞれ0.7%と1%上昇している。

米国の賃貸市場トップ5は次の通り。

1. サンフランシスコ


寝室1つのアパートの家賃は先月、2.4%落ちて3200ドル(約34万円)となった。寝室が2つのアパートの場合は先月と比べて3%の減少で、4210ドル(約45万円)だ。寝室が1つと2つのアパートの家賃は前年同時期と比べて11%以上下がっている。

2. ニューヨーク


サンフランシスコと同様に家賃が下がり続け、寝室1つのアパートの家賃は1.7%落ちて2840ドル(約30万円)となった。寝室が2つのアパートの場合は0.3%の減少で、3200ドル(約34万円)だ。寝室が1つと2つのアパートの家賃はどちらも、前年比で7%ほど下がっている。
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翻訳・編集=出田静

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