“モノやヒトの真の価値を見極める”という発想
「外出自粛期間に感じたことや考えたこと」に対する回答の中で、若者たちの「価値観の変化」も見逃せません。
「人と会えること、行きたいことに行けること、当たり前の日々だったことが当たり前にならなくなった事によって人への大切さを考えさせられた」(会社員)
「家族や友人、大切な人との関わり方やコミュニケーションの取り方、楽しみ方を考えることが多かったです」(会社員)
「なんでもないと思っていた人でも、会わないと少し寂しくて、自分にとってその人と会う時間も大切だったんだなと気付いた」(大学生)
現代の若者たちの付き合いや人間関係のつながりは、SNSを通して構築されているといっても過言ではありません。しかし、外出自粛の影響でSNSの利用時間が増加した中でも、寂しさを感じたり、大切な人との関わり方を考えたという点は非常に興味深い結果といえるでしょう。SNS社会の中で生きる彼女たちが、身近にいる人の大切さに改めて気づいたことが、今後どのような変化をもたらすのか、注視していきたいところです。
自分にとって本当に大切なモノやヒトがわかったという声も多く見られました。
「その場のノリで遊びに行くことがなくなった。本当に会いたい人と会うために時間とお金を使うようになった」(大学生)
「お金の使い方を考えた。外食や遊びではなく、自分の生活を豊かにするための物、本などに使おうと思った」(大学生)
「部活に塾に学校に忙しくてつらい!と言ってた毎日が実はかなり充実していて楽しかったんだなあとすごく思います、、、」(高校生)
「今まで友達が全てだったけど、1人で何事もこなしていく力が必要だなと思った」(高校生)
たくさんのモノが溢れかえっていて、欲しいと思えば何でも手軽に手に入れることが可能な現代。MERY世代の女子たちは、デジタルネイティブ、スマホネイティブとも呼ばれ、大量の情報やコンテンツも、安価に、場合によっては無料でも楽しめることが小さい頃から当たり前でした。1995年以降に生まれた若者では、1コンテンツに対する平均消費時間は8秒、言い換えれば8秒で見切りをつけて次を探しに行くともいわれています。(次世代を担う「ミレニアル世代」「ジェネレーション Z」-米国における世代(Generations)について-JETRO中沢潔より引用)
Photo by HUI GAO on Unsplash
選択肢が多く、便利さにも慣れ、高い情報リテラシーを持って商品やコンテンツを素早く評価する……。そんな価値観は、ずっと以前から彼女たちの根底に存在していたのだと思われますが、今回の外出自粛期間を経たことで、身近なモノやヒトにも適用されるようになったのではないかと考えられます。
以上のように、ステイホーム期間中のMERY世代の女子たちの間では、自分磨きに目覚めた、ポジティブな気持ちの変化があった、自分にとって大切なヒトやモノがわかったという前向きな傾向が見て取れました。
ただし、こうした前向きな結果が得られたのは、空いた時間を無駄にせず、冷静に自身を分析し、努力することができる現代の女の子たち故ではないでしょうか。
そんな冷静さや真面目さを持ち合わせた若い女の子たちのこれからの新しい生活様式の軸には、“モノやヒト、ひいては自分自身の真の価値を見極める”という価値観が、より一層確立されていくのかもしません。