この前日、大統領選への立候補に向けてアイオワ州を訪問したウェストは、同州の州務長官に対し、投票用紙に候補者として名前を載せるための嘆願書を提出した(大政党の予備選を経ずに無所属で立候補する場合、一定数の署名を集めることが必要となる)。
また、米誌ニューヨークによれば、ウェストは近くミネソタ、バージニアの両州でも同様の嘆願を行う予定。14日の時点で、アーカンソーとコロラド、オクラホマ、バーモントの4州で立候補が認められているほか、ほか6州で嘆願を提出しているという。
ただ、すでに立候補の受け付けが締め切られている州もあり、ウェストが選挙選に勝利するために必要な270票以上(選挙人団による投票での過半数)を獲得することは不可能。そのため、立候補は大統領選の妨害を狙ったものではないかとの憶測も飛び交っている。
勝算なしでも出馬、真意は?
ドナルド・トランプ大統領の娘婿で大統領上級顧問でもあるジャレッド・クシュナーと複数回にわたって面会しているというウェスト陣営の関係者は、フォーブスの取材に対し、ウェストの立候補はバイデン勝利の可能性を引き下げる狙いもあることを暗に認めている。
また、複数の関係筋がフォーブスに明らかにしたところによると、クシュナーは双極性障害(そううつ病)と診断されていることを公表しているカニエが7月4日に出馬を表明して以来、頻繁に連絡を取り合っている。米紙ニューヨーク・タイムズが報じたところによれば、8月上旬にはコロラド州で2人だけで話をしたという。
多くの関心を集めているのは、ウェストが出馬を決めた真の意図と、彼の精神面での健康状態だ。ウェストの妻キム・カーダシアンは夫が7月に初め以降、混乱している様子を示すコメントや個人的な問題についてツイートを繰り返していることについて、思いやりをもってみてほしいと訴えている。
共和党に利用されている?
これまでに複数の報道機関が伝えているところでは、共和党は“工作員”(一部はトランプとつながりがある)の活動を通じて、少なくとも6州の投票用紙に候補者としてウェストの氏名を載せることを目指している。ウェストが嘆願書を提出したウィスコンシン、オハイオ、コロラドは、いずれも激戦州だ。
ただ、ウィスコンシンでは現在、嘆願書に含まれる署名の一部に不正があるなどとして、調査が行われている。米紙ミルウォーキー・ジャーナル・センチネルによると、だまされて署名したという人がいるほか、「ミッキーマウス」や「バーニー・サンダース」など、明らかに偽りと考えられる名前が記載されているという。