米大都市で殺人が顕著に増加傾向 抗議活動やコロナが要因か

Photo by Elijah Nouvelage/Getty Images

新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)が引き起こしたトラウマに加え、米国の大都市では殺人の数が急増している。

この動向は、複数の異なる情報源による別々の報告から確認されている。また、特に犯罪アナリストのジェフ・アシャーが行った分析では、米国の23の大都市における殺人の数は昨年同時期と比べて今年6月末までに23%増加したことが分かっている。興味深いことに、アシャーは全体的な犯罪数が7.2%下がり、凶悪犯罪や窃盗犯罪もそれぞれ2.2%と8.8%下がっていることを発見した。

シカゴは今年7月、過去28年間で最も殺人件数が多い月を経験し、その数は105件だった。これは、昨年同月の44件と比べて倍以上だ。アシャーのデータは7月を考慮していないものの、シカゴの殺人件数が2019年前半と2020年前半を比べた場合に恐ろしい勢いで増えていることを示している。2019年前半の殺人件数は284件だったが、2020年前半は433件だった。

フィラデルフィアでも同時期に殺人の件数が187件から247件に増え、ニューヨークでは176件から227件になった。

専門家らは、この動向の要因を明確に特定できていない。しかしニュースメディア「ヴォックス(Vox)」が引用した一部の専門家は、アフリカ系米国人男性ジョージ・フロイドの死をきっかけとした抗議活動を考えられる要因の一つとして挙げている。警察への不信感により、コミュニティーから警察が消え、暴力行為が増えているという説明だ。また、新型コロナウイルスによるロックダウン(都市封鎖)が引き起こした経済的・社会的混乱を原因として指摘している専門家もいる。

ただし、全体的には悪化の傾向があるものの、米国の大都市全てで殺人が増えているわけではないことを指摘しておく必要がある。ラスベガスの今年6月までの殺人件数は44件だが、昨年同時期は50件だった。また、ダラスでの殺人は2020年前半は118件だったが、昨年同時期は123件に上っていた。

翻訳・編集=出田静

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