さらに別の40%は、米国政府が米国人にスパイ活動を行おうとする全ての国のアプリを禁止すべきだと回答していた。一方で、禁止すべきでないと回答したのは30%に留まっていた。
つまり、米国人の70%はTikTokなどの外国製アプリの禁止を支持していることになる。「今回の調査で、多くの人々が海外企業が開発したアプリの禁止措置を支持していることが判明した」とTapResearchは述べている。
最大の懸念となっているのは個人データのセキュリティだ。TikTokのデータの管理が「非常に強固だ」と回答した人々の割合はわずか10%に留まっていた。
トランプ政権はTikTokを米国企業に買収させようとしており、海外企業のアプリが国家の安全保障上の脅威となるとの見方が強まっている。ただし、米国人の大半はテクノロジーやそれに関連した国際関係を深くは理解していない。
その一例と言えるのが、TikTokの運営元の企業名を正しく回答できた成人の比率が20%以下に留まっていたことだ。
今回の調査は18歳から64歳までの1002人の米国人を対象に実施された。予想された通り、年齢層が上になるにつれて保守的な考え方が強まり、海外企業のアプリに厳しい姿勢をとる人が増えていた。
18歳から20歳の間では、いかなるアプリも米国での配信を禁止されるべきではないと答えた割合が35%に達していたが、55歳から64歳の年齢層で同様な意見を持つのは18%だった。
また、政治的スタンスによってもTikTokの禁止に関する意見は割れている。保守派の人々の71%は禁止を支持しているが、リベラルを自認する人々の間で禁止を支持するのは約40%だった。ただし、政治的スタンスに関わらず全体の過半数が、米国で一部のアプリを禁止することが、言論の自由を脅かす行為ではないと回答した。
一方で、全回答者の77%が、米国企業のSNSアプリが海外の政府による米国民の監視活動に用いられる可能性があると答えていた。また、今回の調査では、仮に米国がTikTokやその他の中国製アプリを禁止した場合、中国政府による報復措置を懸念すると答えた人々の割合がかなり少ないことも明らかになった。
中国が報復措置に出る可能性
ニューヨーク大学 MBAのScott Galloway教授は、「仮に中国が米国と同じ動きに出たら何が起こるだろう」とCNNの番組で述べた。「我々の考えでは、消費者はiPhoneを用いて中国政府のセキュリティ施策を回避しようとしている。我々はアップルに対し中国での事業を45日以内に中国企業に売却することを要求する、と中国の習近平国家主席が言い出したらどうなるのだろう」と教授は話した。
中国は既にグーグルやインテル、ツイッターなどの米国のテクノロジー企業の中国市場への参入を阻止しているが、両国間の報復合戦は今後さらに拡大する可能性がある。
ただし、ここで1つ指摘しておきたいのはTapResearchによる調査が、ランダムに抽出された1002人の米国人を対象としたものであり、ここで示された結果が完全に米国民の総意を示すものとは言えないことだ。