ブルームバーグの報道によるとフォックスコンのリウ・ヤンウェイ(劉揚偉)会長は8月12日、投資家向けのカンファレンスで、中国国外の製造キャパシティを増加させ、特にインドや東南アジア、アメリカでの生産を強化すると宣言した。
フォックスコンの広報担当によると、同社は今後、中国とその他の国々のサプライチェーンの分断を進めていくという。フォックスコンの中国国外での生産比率は2019年6月時点で25%だったが、現在は30%に高まっている。
フォックスコンの経営陣は、マクロレベルの動きが世界の家電産業に与える影響を考慮に入れ、ふさわしい対応を行っていく姿勢を12日の声明で打ち出した。米中間の緊張の高まりにより、テクノロジー関連の製造業のサプライチェーンはダメージを受け、巨大市場へのアクセスが脅かされている。
調査企業カウンターポイントの台北支社のアナリストのBrady Wangによると、フォックスコンは製造拠点の移設に向けた検討を2018年もしくは2019年の初旬から進めていたという。台湾のほぼ全ての電子機器のサプライヤーらは、中国国外に新たな製造拠点を設置して増産を進め、米国の関税を回避しようとしているとWangは指摘した。この動きは今年に入り加速し、インドやベトナムへの移転が進んでいる模様だ。
複数の報道で、フォックスコンが南インドのiPhone組み立て工場に10億ドルを投資する計画だとされている。同社はさらに、米国のウィスコンシン州に100億ドルのディスプレイ工場を開設する予定という。
フォックスコンは現在16カ国に拠点を設けているが、2018年から中国内のサーバーやネットワーク機器の組み立て拠点の大半を、海外に移転させたという。同社のクライアント企業としては、アップル以外にデルやHP、グーグル、テスラなどの大手があげられる。
製造拠点を中国とその他の諸国に分断することで、フォックスコンのコストは一時的に上昇するが、最終的には売上の増加につながるとWangは分析する。調査企業ガートナーの台北支社のTracy Tsaiは、この動きによってフォックスコンが今後、製造面で中国との間に明確な線引きを行えると述べている。
フォックスコンが8月13日に発表した第2四半期決算は、アナリスト予想を上回る内容だった。第2四半期の純利益は約229億台湾ドル(約833億円)で前年同期比で約34%の増益だった。ただし、同社会長のリウは来期の売上は、アップルが新型iPhoneの立ち上げを遅らせることにより低下すると述べた。
フォックスコンは今から約45年前に、台湾トップの富豪であるテリー・ゴウ(郭台銘)によって設立された。ゴウは昨年、同社の会長職を辞任し台湾総統選への出馬を目指したが、9月にそれを断念していた。