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不透明な点は、法の条文だけでなく運用についても指摘されている。香港では、国安法が施行された2020年6月30日以前の行為についても、遡及的に法が適用されるのではないかとの懸念が出ていたが、この点については、中国国務院香港マカオ事務弁公室のトウ中華・副主任が6月15日、「遡及的に人々を罰することにはならない」との見解を示していた。

しかしながら、実際の法の運用をみれば当局が過去の活動内容を考慮せずに摘発対象を選んでいるとは考え難い。周氏とともに民主活動をしてきた黄之鋒氏は、11日に自身のフェイスブックで動画を公開し、この点における「国安法」の恣意的な運用を批判している。

「(周庭は)国安法の施行前に政治団体『香港衆志(デモシスト)』を去り、ツイッターアカウントの運用を停止していたにも関わらず逮捕された。このことは明らかに国家安全保障法が遡及的であることを証明している」

イギリスの放送局で働くフリーランス記者も逮捕


8月10日に香港で「国安法」違反の容疑で逮捕されたメディア人や活動家は、周氏を含めて10人にのぼる。  香港紙「リンゴ日報」創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏とその2人の息子、黎氏の経営するメディアグループ「壹傳媒」の幹部ら4人、政治グループ「香港故事」メンバーの李宇軒(アンディー・リー)氏、そして学生団体「学民思潮」の元メンバーでフリーランス記者の李宗澤(ウィルソン・リー)氏だ。

イギリスの民間放送局ITVでフリーランス記者として働いていた李宗澤氏は12日、自身のツイッターに「33時間の拘留の後、保釈金を払って警察から釈放されました」と投稿し、続けて「携帯電話やパソコンだけでなく、クレジットカードや銀行のカードもすべて押収された」と綴っている。

「国安法」の問題点のひとつは、具体的に何をすれば犯罪になるのかがよく分からないことだ。周氏や黎氏のように一定の影響力をもつ活動家やメディア人だけではなく、一般の市民にも嫌疑がかけられる現状からすると、今後も多くの人が摘発される可能性は十分にある。

周氏もインスタグラムの投稿を「これから、さらに多くの香港市民が、同じ、或いはもっと怖い目に遭うかもしれない。香港の将来はどうなるのか想像することさえ難しいけれど、暗闇の後には、夜明けがきっと来ると信じるしかない」と綴って締めていた。

香港の民主化を願う彼らとの連帯を示しつつ、国安法の運用が今後どのような展開を見せるのかについては注意を払い続ける必要がある。

文=渡邊雄介

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