エディター、ライター

JAEGER-LECOULTRE Reverso Classic Large Duoface Small Seconds

「約25年前、私はヴァージンアトランティック航空に勤めており、日本と英国を行き来していました。同僚は時刻が2つわかるGMTなどをしていましたが、ベゼルを回したりダイヤルが2つあるのは、あまり格好いいとは感じられませんでした。私は日本と英国の時間さえわかればいいので、実用的かつお洒落な時計を、と考えて選んだのが“レベルソ・デュオ”でした」

愛機であるジャガー・ルクルト「レベルソ・デュオ」の購入動機を語る田窪寿保さん。彼はグローブ・トロッターやハケット、フォックス・アンブレラなど英国ブランドを取り揃える「ヴァルカナイズ・ロンドン」を率いており、かつては英国グローブ・トロッター社の副社長として英国に居住もしていた。筋金入りの英国通である。

彼はクルマにも精通しており、ジャガー・ルクルトを好きになったのもクルマがきっかけだったという。

「若い頃から古いクルマに乗っていました。1950〜60年代ロータスを5台所有しましたが、当時のクルマの計器は大体スミスかイエガー(JAEGER)を採用していました。イエガーのスピードメーター、タコメーターを見てきたので、親しみがあった。ジャガー・ルクルトを選んだ理由のひとつです」

イエガーは、時計ブランド“ジャガー・ルクルト”の航空機や自動車用の計器製造部門だった。田窪さんが「英国では“イエガー・ルクルト”ですけどね」というように、“ジャガー・ルクルト”の正しい発音は“イエガー・ルクルト”。身近にあったイエガーとの関わりがレベルソを選んだ動機のひとつだが、それだけではない。

「もともとアール・デコの美意識に惹かれていたこと、そしてダブルフェイスで文字盤が洗練されていたこともレベルソを選んだ理由です。いまもオーバーホールしながら使っています」

約25年レベルソを使い続けているという。その考え方は本業にもつながる。COVID-19の影響で「ヴァルカナイズ・ロンドン」の店舗を休店していたが、リペア部門だけは稼働しているという。

「弊社ではリペアではなくレストアと呼んでいます。グローブ・トロッターなどでは時計工房並みに100年先まで使えることをよしとします。修理もただ新品に戻すのではなく、経年変化を残して補修します。単なるスーツケースではない、お客様の想い出がこもったケースとして扱うのです」

そして「おじいさん、おばあさんが使っていたスーツケースで自分が旅行するなんて面白くないですか?」と続ける。まさに機械式時計と同じ感覚だ。

photographs by Kazuya Aoki text by Ryoji Fukutome illustration by Adam Cruft edit by Tsuzumi Aoyama

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