驚くべきことに、いまでも、オンライン上では3分に1回の頻度で、「Go Back To Africa」を含む悪意ある文章が投稿されているという。
カナダの黒人コミュニティ向け旅行サイトBlack & Abroadは、データ・テクノロジーを駆使して、ネガティブな印象しかなかったこのフレーズを、鮮やかにポジティブ変換してみせた。
カンヌライオンズ2019で、クリエーティブ・データ部門グランプリを受賞した取り組みだ。
頻度の高さを逆利用した事例
ツイッターに「Go Back To Africa」というフレーズを含んだ投稿がなされると、AIが自動で検知し、その投稿をジャック。「Go Back To Africa」だけを残し、他の悪意に満ちているテキスト部分は黒く塗りつぶし、そのうえで、アフリカに旅行に出かけたくなるような美しい写真とともに、Black & Abroadが新たに投稿し直す。
そこに記されているのは、「私たちはヘイトな投稿を取り除き、この言葉の意味するところを定義し直した」という文章なのだ。
魅力的な写真とともに、旅行サイトによって投稿された文章によって、「Go Back To Africa」というフレーズは、にわかにそれまでとは異なる意味合いと輝きを持ち始める。
Black & Abroad「Go Back To Africa」
それまでは「ここはお前のいる場所ではない。アフリカに帰れ!」というネガティブな意味を包含していたのに対し、今度は「旅行先としてこんなに魅力的な(そしてあなたのルーツでもある)アフリカに、ぜひ出かけよう!」と旅情を誘うフレーズとなったのだ。
また、このフレーズを含むヘイト投稿が増えれば増えるほど、「素晴らしいアフリカ旅行に出かけよう!」という意味に転換された自分たちのメッセージが新たに投稿されることになる。ヘイト投稿の、3分に1回という頻度の高さを逆利用した事例と言えるだろう。