RBCキャピタル・マーケッツ(RBC Capital Markets)の株式アナリスト、ローリ・カルバシナ(Lori Calvasina)は、「株式市場は、バイデン勝利の予想に合わせたかたちで取引されるようになり始めている」と話す。「株式市場はこれまで、トランプ勝利のほうが都合がいいと考えてきたが、そうした姿勢を翻した可能性もある。ただし私たちは差し当たって、この説については割り引いて考えている」
大統領選挙が近づくにつれ、ウォール街はバイデンを改めて値踏みするだろう。それは有権者も同じだ。そのころには、新型コロナウイルスの感染状況は改善されているとRBCキャピタル・マーケッツは見ている。そうなると、トランプには有利だ。
大半の世論調査では、トランプが劣勢に立たされてきた。パンデミック対策をしくじったと見られているためだ。しかしトランプは徐々に追い上げを見せており、最近の調査を見ると、接戦州では優位に立っている。
新型コロナウイルスの最近の感染者は、多くが若者であるうえに治療法も改良され、入院を必要とする患者数が減っていることから、接戦州の一部では、上がっていたバイデンの支持率が、肝心の秋になる前に再び下がる状況も考えられる。
株式市場では、バイデンの支持率がピークに達した可能性があるという意見が聞かれる。しかし、最後まで目を離さないほうがよさそうだ。
バイデンの支持率上昇を予測するアナリスト
英運用会社シュローダー(Schroder)のエコノミスト、ピヤ・サチャデワ(Piya Sachdeva)は、バイデンの支持率上昇を予測している。
「接戦州を含めることによって、不確実性をさらに考慮すれば、バイデンが57%の得票率で勝つことを調査は示している」とサチャデワは言う。「全体的に見れば、バイデンがかなりの余裕で過半数を占めそうだ」
そうなればバイデンの完勝だろう。だが、その見込みはまずない。
サチャデワは、今回の選挙では「サイレント・マジョリティ(物言わぬ多数派)」は大した要因にはならないだろうと見ている。トランプはすでに4年間、大統領職に就いており、トランプに何ができて何ができないのか、有権者は以前よりもはっきりとした考えを持っていると思われるからだ。
最近の世論調査に基づけば、土壇場で投票先を決める有権者がトランプに有利に働くことはないだろう。こうした層が「最後にトランプがどんでん返しで勝利をおさめる州」を生み出すだけ十分にはいないため、最終的には「バイデンの得票率は62%になる」とサチャデワは言う。そうなれば歴史的勝利となるが、これまた、その見込みはまずない。